ぴよぴよ

鍵のぴよぴよのレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
3.7
老齢の骨董鑑定士(中村鴈治郎)、その美貌の妻(京マチ子)、娘(叶順子)、婿候補の医者(仲代達也)の4人が繰り広げる愛憎の世界❣️

老いを痛切に感じ、妻を刺激する事で我が身を奮い立たせようとする男。般若の様な顔の美しい妻はそれを知っていて夫を焚きつけ、娘の恋人をも翻弄する。

娘も恋人も素知らぬ顔でその画策に加わる。4人とも自分本位な企みを隠しながら笑顔で集う姿は、隠微なおかしみが感じられる。抑揚のない話し方が妙に生々しい。

妻は酔うと必ず入浴し、そのまま意識をなくす。男はその全裸の妻をわざと娘の恋人に見せつける。美しい裸体は若い男を刺激し、その様子を見て老いた男も興奮する。なんて倒錯した家族なんでしょう❗️

京マチ子の妻がエロティック。病床の夫の前で着物を脱ぎ全裸を見せつけ興奮させ、ニヤリと笑うその笑顔はまさに般若!仲代達也のクールな顔立ちもドライな医者役にピタリとハマる。

谷崎潤一郎の世界を市川崑がスタイリッシュに映像化して、乾いた不思議なエロティシズムが感じられました。

ラストの大ドンデン返しは、クールな家族の物語の終焉としては最高のオチかも‼️
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