櫻イミト

クイーン・ケリー [スワンソン・エンディング版]の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.0
「サンセット大通り」(1950)で挿入されたグロリア・スワンソン主演のサイレント映画(1931)で、虚実含めた前日譚にあたる。スワンソンとシュトロハイム監督の対立により撮影が中断し未完成だったが、後年スワンソンの構想による追加撮影版である本作と、監督の当初構想に沿った写真復元版との2種類が完成された、

独裁的な女王レジーナ 5 世の婚約者で浮気者のヴォルフラム王子は、演習中に近くを通りかかった修道院の娘ケリー(スワンソン)の無垢な美しさに一目惚れする。その夜、彼女を自分の部屋に連れて込んで一夜を明かすが、 翌朝、一緒にいるのを女王が見つけ怒りを爆発させる。。。

写真復元版を観たので本バージョンも鑑賞。ストーリーは当初構想の中盤でメロドラマ的に終幕させている。これだと、アフリカで女王と呼ばれる前に終わってしまうためタイトルが浮いてしまう。

しかし「サンセット大通り」の前日譚として観るならば、本バージョンは欠かせない。監督と対立し物語をねじまげて悲劇のヒロインを演じたスワンソンの生き様は、「サンセット大通り」のノーマの姿に直結して見える。
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