takeman75

ファイティング・ファミリーのtakeman75のレビュー・感想・評価

4.0
イギリスで弱小プロレス団体を営む家族の下を巣立ち、アメリカ最強のプロレス団体・WWE訓練生となる少女の成長を綴った、現代版シンデレラ物語。
本作はWWEの人気女子レスラー・ペイジの実話を元にしており、その栄光を手に入れるまでの葛藤や挫折、奮起の過程はまあ定型通りの展開なのだが、プロレスを通じて「生きる世界」が変わった者と取り残される者の残酷な差までも目を背けずに描き、最後まで教示的な物語から「醒める」間を与えない。
プロレスという一般的には「見下げられがち」な興行の実態も、ザ・ロック=ドウェイン・ジョンソンという究極の「光」と、今はしがないスカウト兼コーチとして生きる男(演じるヴィンス・ヴォーンが素晴らしい)という「陰」の対比で描いている辺りも、実に誠実だと思う。
格闘の世界で演じる者とその世界に憧れる者、それぞれプロレスを「生きる糧」として愛する人々の息吹きが伝わる眼差しに加えて、「女」としてリングに上がる人々の「覚悟」も掬い上げた、これは本当にプロレスファンによるプロレスファンのための、そして何より胸の奥に「闘志」を秘めた全女性のための熱い「生き様」を描いた物語。でも、たとえこの手のスポーツ物が苦手な人でも、それこそ『8Mile』や『スクール・オブ・ロック』『SING』『ボヘミアン・ラプソディ』などの映画に「燃えた」記憶がある人なら、全然大丈夫。みんな最後は一緒に拳を上げよう!!!
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