菩薩

MAROKO 麿子の菩薩のレビュー・感想・評価

MAROKO 麿子(1990年製作の映画)
4.1
OVA『御先祖様万々歳!』全六話。

アニメで演劇をやる試み自体が既に面白いが、ストーリーも猛烈に面白い。「鳥」の生態(特に繁殖と子育てについて)説明を用いて各話のイントロダクション及び内容説明に代えていく時点で既に押井守。主人公は犬丸、東京のセイタカアワダチソウ、家族の集う大洗海水浴場、夢もしくは逃避の立喰師、廃墟の先に聳え立つ高層マンション(バベルの塔)、COKEの自販機、黄色い飛行船、虚構を無効化していく為の更に強大な虚構なんてのが全部出て来る。家父長制度の終結、家族制度そのものの継続(誰かの血を継ぐこと、誰かに血を継がせること)に対する恐怖が、ドタバタコメディであった筈の物語を完全なる悲劇へと追いやっていく。『うる星やつら』、『天使のたまご』、『とどのつまり…』(漫画)、『迷宮物件』の集大成の様な物を感じるし、ここでの取り組みと「人間とは何か?自分とは何か?」との壮大なる疑問ががその後の「攻殻機動隊」へと繋がる…?のかな?少なくとも完全なる森見登美彦の元ネタではあると思う。めちゃくちゃ面白いし怖い。自分自身が主人公であるはずの人生であるが、自分自身がその演出家にはなれないのが人生である…。

「立喰師はSFを信じない。」
菩薩

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