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妻の愛、娘の時のkyokoのレビュー・感想・評価

妻の愛、娘の時(2017年製作の映画)
3.8
冒頭のご臨終のくだりがいきなりドタバタ(「お母さんチューブ潰してる!」とか)してたので、てっきりコメディかと思ったら、かなり切ない内容だった。

田舎に最初の妻(正妻)を残して、町で別の女と結婚した男。その娘フイインが田舎にある父のお墓を町に移送して、亡くなった母と一緒に埋葬したいと言いだしたことから起こるドラマ。

正妻は再婚もせず田舎で夫を待ち続け、帰ってきたのは亡くなって墓に埋葬されるときだった。夫と暮らした女が葬式をおこなう間、妻はひとりでどうしていたんだろう。
家にある棺は夫を入れるためのものだったかもしれないし、自分が入るためのものなのかもしれない。写真の一枚も手元になく、それでも死んだらようやく同じ場所で眠ることができると、ただそれだけを願っていたのだと想像したら、彼女の孤独に胸が潰れそうになって、終盤の写真のくだりは号泣してしまった。

原題「相愛相親」は、互いに慕い合い、愛し合っているという意味。
愛することは相手を思いやることであり、それは自分の幸せにもつながる。
フイイン夫婦やその娘であるウェイウェイのカップルは、めまぐるしく変化する中国で人々が見失われつつあるものを象徴しているけれど、同時に不変的な価値観にも気づかされる。
いくつになってもコミュニケーションって大事。
今日はずいぶん喋ってくるなー、と我が配偶者は思ったかも(笑)

フイインの夫、最初はあんなに冴えない感じだったのに、ラストのかっこよさはズルイわw
もともと著名な映画監督さんらしいけど作品は存じ上げない。むしろ「僕らの先にある道」でのお父さん役の印象が強い人。
そして「僕らの先にある道」の監督と言えば、ウェイウェイの彼氏の元カノ役だったレネ・リウ。本業は歌手で歌のうまさは劇中でも存分に披露されていた。
シルヴィア・チャンといい、中国の人はマルチな才能人が多い!
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