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おだやかな革命のKUBOのレビュー・感想・評価

おだやかな革命(2017年製作の映画)
3.5
1月6本目の試写会は「おだやかな革命」。

冒頭、飯館村の牧畜から始まるので、先日見た「被曝牛と生きる」を思い出したが、そういう作品ではない。

原発事故で被害を受けた人たちが、村に戻るために始めた事業が「太陽光発電」。

清浄な土地があって、豊かな牧草地となって、その草を食べて牛が育ち、その牛の糞尿が肥料となり、また肥沃な土地を育てる。すべからく健全な自然のサイクルには無駄な排泄物がない。そういった意味において、廃棄場所すら見つけられない核廃棄物を生み出す「原子力発電」は健全なサイクルではないのだ。

本作では原発に代わる「再生可能エネルギー」である「太陽光発電」「風力発電」「水力発電」などに目を向け、また「都会」のために電力を生み続ける「地方」といった旧来の構図を見直し、電力の地産地消・ローカル化から生まれる地方再生を提唱する。

よくこういったドキュメンタリーでは体制批判から入るのが定石だが、本作の監督渡辺智史は原発事故そのものは追求せず、あくまでそこから住民たちが立ち上がるための前向きな姿勢だけにフォーカスして撮っている。

「おだやかな革命」とは、そういった地方再生を目指す人たちの考え方の変革を指しているのだが、本作も「おだやかな」に主張するドキュメンタリー作品である。

(私は一年の内2ヶ月ほど宮古島で過ごすので、「太陽光発電」や「風力発電」は身近な存在だ。個人的には、一日も早く日本中から原子力発電所が消えて、クリーンなエネルギーに転換してくれることを祈っている。)
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