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天命の城のmaverickのレビュー・感想・評価

天命の城(2017年製作の映画)
3.8
2017年の韓国映画。『王になった男』のイ・ビョンホンや、『チェイサー』のキム・ユンソクら豪華スター共演による歴史大作映画。音楽は坂本龍一が手掛けた。観客動員数は385万人。


1636年の丙子の乱を描く。清が李氏朝鮮を侵略し服従を迫る。朝鮮16代国王の仁祖は江華島に逃れようとするも、それを阻まれ南漢山城へ立てこもる。徹底抗戦するか、屈服するか。決断を迫られる47日間を描いている。

歴史大作ではあるのだが、どうにも地味な印象を受ける。幾度かの合戦もあるが、いまいち盛り上がらない。臣下たちが各々に意見を言い合い、その判断に苦渋する王のやり取りが主。その中で一番の常識人がイ・ビョンホン演じる吏曹大臣というわけだ。イ・ビョンホンはさすがの存在感で映えるが、このキャラクターにもそこまで魅力を感じない。王と国を救った英雄として韓国では名高いが、描き方が地味だったんじゃないかなぁ。同じ歴史大作でも、『王になった男』や、『王の涙 -イ・サンの決断-』の方が迫力があって楽しめた。

イ・ビョンホン、キム・ユンソクの存在感はもちろん、『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』のパク・ヘイル、『高地戦』のコ・ス、『1987 ある闘いの真実』のパク・ヒスンなど、豪華共演陣の熱演も見所ではあるのだが、それでも盛り上がらない。これだけの役者を揃えていながら、目立たせることが出来ない演出だったと思う。

盛り上がったのは最後。王と臣下の者らの姿に熱いものを感じた。どんな屈辱を味わおうとも、生きることを選択する。命に勝るものはないと思わせられる話だ。


盛り上がりには欠けたが、この時代のことを深く知れたことは収穫であった。ここで名誉を取って最後まで戦っていたら朝鮮は滅亡していたかもしれない。そう考えると感慨深い。やはりこの人は英雄なんだな。
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