大道幸之丞

レプリカズの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

レプリカズ(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1995年の出演作「JM」を思い出してしまう作品だ。

神経科学者のウィリアム・フォスターをキアヌ・リーブスが演じる。
死後間もないドナーから「意識」を抽出しロボットへ移植出来ないかをトライしているが、なぜか自壊現象が起こりパニックに陥ったロボットは暴れてしまい実験は失敗する。

そんなある日。6人家族で暮らすウィリアムだが、荒天のドライブで事故に遭い家族をいっぺんに失ってしまう。そこで彼が発想したのは禁断の「クローン化」だ。

助手のエドに助けてもらいつつ、家族のDNAを抽出しポッドで培養し果たしてそれは成功する。しかしウィリアムが勤務する医療系バイオ企業が実態は化学兵器を開発することを真の目的としていることが並行して発覚。そこからすったもんだと大逃走劇が起こる。

ポイントはウィリアムはクローンを心から「家族」と思っているが、上司のジョーンズは「人間」とすら考えておらず、殺すことを簡単に考えているところで、我々はそこに身につまされる思いがあり引き込まれる。

最後はウィリアムのジョーンズと野心を満たす協力関係を結ぶことで、やや異質な「ハッピーエンド」を迎える。

本作でのキアヌはいち科学者であり、追手が迫っていても格闘ができるわけではないのが(当たり前だが)もどかしい。バイオテクノロジーを兵器に転用しようとする企みは定番で新鮮味はないし、簡単にクローンが成功してしまうところも突っ込みたくはなるが、ドラマを成立させるには致し方がない事も理解できる。

「先を読めない」ほどではないにしても脚本が良く出来ていて、ウィリアムの心情をよく描写出来ている。少し間違えると茶番に陥りかねないストーリーを無理なく構成している。

有能な助手エドの役柄を、米HBO制作の人気ドラマ「シリコンバレー」で主人公リチャードを好演したトーマス・ミドルディッチが演じている。

近年SF領域では「バイオテクノロジー」を題材にした作品が増えているが、本作は「観て損はない」と思わせる出来だ。