みーちゃん

オンリー・ザ・ブレイブのみーちゃんのレビュー・感想・評価

3.1
本作は、興行成績が振るわなかったそうですが、山火事の深刻な問題に関心があるのと、アリゾナ州での実話という事で、観たいと思いました。

エリート森林消防隊の中で、彼らが異色の叩き上げチームだという事も、知識や技術は勿論、一人一人のマインドやリーダーシップ、チームワークが最強だという事もよく分かった。心から尊敬するし、悼みの気持ちで一杯になる。それは大前提で、映画としては、物足りなさを感じた。

チームや個人のバックグラウンド、大惨事となるヤーネルヒル火災の現場、1人だけ生還した隊員と遺族。これら全てのシークエンスが、緩急のつけ方も、時間配分も均等に割り振った感じで、印象に残らない。

それでも、ラスト20分前、19名の隊員が、文字通り必死の円の陣形で、燃えさかる炎を迎えるシーンは、一時停止して、しばらく呼吸を整えてからでないと、観ることができなかった。まさか、こんな形で最期の瞬間に向き合ったとは。

だからこそ、残念な点が2つあった。
1つは、彼らが最後の拠り所にした防火テント。その性能や、使った時に中の人間がどんな状態になるのか、そして、山火事の現場において、これが必要な状況が何を意味するのか。この描写が無かった。前段階で何かしら触れておくべきだと思う。描き方は、訓練の場、過去のエピソードなど、いくらでもある。彼らがあれをどんな想いで装着したのか…。観客に考えさせる工夫をして欲しかった。
扇情的な演出は不要だが、事実を知りたいし、彼らの置かれた状況を感じたい。 2時間以上も尺があるのに、何やってんだ!と思った。

もう1つは、真っ赤な炎に焼かれながら走る熊。あれを指揮官のエリックが"美しい"と言ったこと。あの人物が、果たしてこの言葉を使うだろうか?とても違和感があった。
もし、取材に基づく事実だとしたら、"美しい"の意味するものが何なのか、映画で何を伝えたいのか、しっかり確立した上で、表現方法を工夫して欲しい。他にもあるけど、ここまでにしておきます。キャスティングは良かった。