豚肉丸

Gitarrmongot (原題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

Gitarrmongot (原題)(2004年製作の映画)
4.2
街中でギターを鳴らし続ける少年を中心に、様々な人の生活模様を映す映画

スタイルは現在と何も変わっておらず、固定カメラで人と人とがコミュニケーションをし、その中で様々な嫌なことが起きる...というリューベン・オストルンド監督らしさも健在だが、フレンチアルプスやザ・スクエアと比べるとかなり嫌味が抑え目になっていることがわかる。ここ最近の映画は結構突き放したような冷めた視線で描くことが多いが、この映画は「嫌だな」と感じてしまうような異常者達にも寄り添ったような視線で映しているのが印象的。

純粋に人間観察映画としてなかなか面白い。最初は何の関連性もない映像が次々に映されるが、映画が進むにつれて「お馴染みの人」が現れるようになり、観客は次第にそれらの人々の人生を追うようになっていく。
個人的には自転車を盗まれたおばあちゃんが良かった。オムニバス映画である特性を使って「自転車」にまつわる様々なストーリーラインを一つに纏める構成はなかなか面白い。

かなりハーモニー・コリン監督の『ガンモ』らしさが窺える。というか本作はかなり『コリン』に近い。下品な要素を省き、人間のコミュニケーションのすれ違いや「嫌な人では無いんだけどなんかこの行動が気になるんだよな...」と思ってしまうような部分を煮詰めたコリンと言うべきか。
長編処女作ながらも現在のスタイルに地続きなところも多く、一つ一つのカットの構図も良くて普通に楽しめた!
豚肉丸

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