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変わらないで。百日草のtetsuのレビュー・感想・評価

変わらないで。百日草(2017年製作の映画)
3.2
青山シアターの配信サービスが終了(6/28まで)するということで鑑賞。

同窓会で再会した元演劇部所属の4人の男女。
卒業公演の際に起きた"ある出来事"を未だにひきずっていた彼らは、なぜか、当時へとタイムスリップしてしまう。

ムーラボ作品『満月の夜には思い出して』の川北ゆめき監督が手掛けた前作。

卒業を間近に控える映画研究部の部員を描いた『満月……』 とは異なり、演劇部を題材にタイムスリップという要素を絡めつつ、学生生活の終わりが描かれるSF青春映画だった。

物語の構造自体は両作とも似ているので、『満月……』の原点となった作品であることには間違いない。

本作独自の演出として、劇中劇と本筋の物語がリンクしているという部分があったが、短時間の作品と言えども、2つの要素が絶妙なバランスで描かれていたのが印象的だった。

『満月……』の後半では「演劇部の舞台」がキャラクターに大きな影響を与えていて、監督自身が演劇好きであることが垣間見えたが、本作で、それが確信に変わった。

そういった部分は、独特な台詞選びや役者の演技などにも繋がっており、両作とも作品全体に演劇的な雰囲気が漂っていた。

過去を繰り返すなかで彼らが導きだすラストには「希望」が満ち溢れていて、理想を実現できるフィクションという存在の力を感じさせられた。
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