皿鉢小鉢てんりしんり

バンパイアハンターDの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

バンパイアハンターD(2000年製作の映画)
3.8
1から10までどっかで見たようなクリシェの寄せ集めでも、確かなセンスと演出力で描けば良質なエンタメが作れる、ということをこういう作品が示してくれている。
冒頭、街中の十字架が曲がっていくところから、演出の気合いが入りまくっている。
バルバロイの爺さんの一輪車に乗ってるのとか、目を引くディティールの工夫が随所にある。この人のセリフがまた芝居がかってて良い。「おお、馬を降りたか!、年寄りに対する礼儀をわきまえておるな」、「ここに居並ぶ者みな驚天の技を身につけておる。いくら優れたハンターといえども全員を相手取ることはできまい」 やっぱファンタジーならこういうセリフが聞きたいわけですよ。「葬送のフリーレン」だかなんだかのRPGゲーマーノリでは決してなく……
青野武のジジイも良い。「貴様、自分が何をしているか分かってるのか!」に対しての返しで「多分な」が完璧。多分って言われちゃ困るしかない。
永井一郎演じる“左手”が色々と説明してくれるのも、ファンタジーとしての必要な設定は全部口で言ってやるから目の前のアクションを見てくれ、という想いが伝わってくる。どうせ説明ゼリフがいるならこれくらい潔くやらなくてはダメ。色々言ってる間に手綱をギュッと握って左手が潰されるギャグも冴えていた。