イチロヲ

やくざ刑罰史 私刑(リンチ)!のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
ヤクザの掟を守り抜くことの困難さと、虐待行為に至るまでの種々相を、オムニバス形式で描いていく。東映異常性愛路線の第7弾。鏑木創(かぶらぎはじめ)が、石井組で初仕事。口琴を使った不穏な音作りが素晴らしい。

第1話は江戸時代の物語。掟を守ることができなかった仲間を庇護する菅原文太と、それを弾圧する親分の闘争。フォトジェニックな映像美、斬られ役の芝居が見応えあり。

第2話は明治期の物語。ヤクザの倫理性に支配されていた大木実が、使い捨ての不条理な世界に疑念を抱き始める。明治期を再現したレトロな舞台セットが素晴らしい。

第3話は現代劇。金塊の争奪戦がケレンミたっぷりに描かれており、吉田輝雄が八面六臂の活躍を見せる。ほとんど、ライン・シリーズの延長線上。

多種多様な折檻が登場するが、女刑罰史との差別化にともない、刑罰を受けるのは男になっている。エロ要素が抜け落ちているため、異常性愛路線の枠組みでは、少々物足りない印象。
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