CHEBUNBUN

クソ野郎と美しき世界のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

クソ野郎と美しき世界(2018年製作の映画)
1.0
【映画を普段見ないSMAPファンが羨ましい】
WARNING:SMAPファンは読まないで下さい。これはクサポン好きのしがない映画オタクのボヤキです。

《アイドル》という存在に囚われ、そして無残にも棄てられたSMAP。衝撃のシビルウォーにより、稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛は《新しい地図》というグループを結成。アイドルという呪縛へのプロテストとしてyoutubeを始めたりした。

そんな中生まれた映画が、『クソ野郎と美しき世界』だ。4篇のオムニバスで、監督には園子温、山内ケンジ、太田光、児玉裕一という異色な組み合わせを配置した。まさにSMAP、ジャニーズへのプロテストであり、音楽、映画を超えようとしたプロジェクトだ。

しかしながら、中身は本当に酷かった。山内ケンジ×香取慎吾の話こそ大傑作だが、残りが映画オタク程吐き気がする、体調が悪くなるものだった。

ただ、SNSを覗くと、普段映画をあまり見ないSMAPファンが熱狂している。SMAPファンが羨ましい。なんたって、普段映画を見ない人にとってはアートのビッグバンがそこにあり新鮮だからだ。

映画ファンを10年もやると、『X線の眼を持つ男』や斉木楠雄のように透視ができてしまう。AのあのシーンとBのあのシーンを混ぜたもの、パクリだとわかってしまう。純粋に映画を楽しめなくなる。

だから許してくれ、この先ボヤキ注意だ!

1.『ピアニストを撃つな!』
監督:園子温

最近、スランプでシヌフィルのサンドバッグになっている園子温最新作。前作『ANTIPORNO』ではファスビンダーの『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』のパクリみたいな作品を作った。今回はタイトルからして煽ってきてます。おい!園子温、トリュフォーを愚弄するな!と言いたくなる。しかし、中身は伝説のクソ映画『幻の湖』のパクりだった。女が走るただそれだけ。伝説のクソ映画をパクることで、本作を貶すこと行為をバカにする作りとなっている。これはトリュフォーにも、『幻の湖』にも、映画ファンにも失礼だ。

しかも、キャラクターが全て記号でしかない。特に浅野忠信扮する嗅覚が犬の1000倍鋭い男。ガスマスク外して走っているが大丈夫なの?

2.『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』
監督:山内ケンジ

こちらは掃き溜めの様な作品にキラリと輝く傑作だった。山内ケンジはインディーズ邦画クラスタの間で注目されている監督だ。しかも、音楽に『プールサイドマン』の監督の弟・渡辺雄司が起用されているのだ。

山内ケンジ映画は初めてだったがこれが面白い。画家香取慎吾と歌喰い女が交差するまでが非常に良くできており、ワクワクニヤニヤが止まらない。

また、《新しい地図》とは何なのかを深く理解しているからこそ、香取慎吾にやらせるある展開がサイコーにパンクだ。

何よりも、今回映画初デビューの中島セナを魅力的に撮る。

私が映画監督なら、自分の次回作に彼女を使いたい!と思う程良い表情を撮りまくるではないか!

もちろん、香取慎吾の扱い方もわかっている。コミカルでチャーミングな彼の笑顔には私もメロメロだ。

3.『光へ、航る』
監督:太田光

クサポンファンの私は、爆笑問題太田光にクサポン映画を撮らせたことに憤りを感じた。そこはクドカンやMR.一本満足こと石井克人にやって欲しかった。

一言で言うならば、短編映画コンペに出品される審査員泣かせの映画。長い、つまらない、ギャグは自己満足、無駄に政治的のロイヤルストレートフラッシュだ。

草彅剛扮するヤクザな男が行方不明の息子を追うという内容。

クサポンに下手にギャグをやらそうとするから、臭い演技に見えるではありませんか!

しかも、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の真似事までやりはじめる。イタイイタイ!太田光よ、ジャームッシュをやるのは100年早い。

芸人映画としては、フレームの作り込みこそまあまあ上手いが、いきがっている大学生映画レベルの作品でした。

4.『新しい詩(うた)』
監督:児玉裕一

サカナクションの『ネイティブダンサー』のMVを作った映像クリエイター児玉裕一映画初監督作。

前3話のおさらいをミュージカルで演出するのだが、PV、MVと映画を履き違えており、物語ることを放棄している。

事務的に各エピソードを繋ぎ合わせているだけで、ミュージカルシーンも、ソシャゲか何かのCMかなと思う程。

まあ多少のカタルシスはあるが、これは映画ではない。

☆最後に、、、
これは映画ファン程オススメしません。腹を壊す程、あまりの酷さに体調を崩します。今年のワースト候補です。ただ、山内ケンジの作品だけは大傑作なので、まあ暇な方は是非!
(これ観るくらいならズビャギンツェフの『ラブレス』を観てほしい)
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