やきうどん

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のやきうどんのレビュー・感想・評価

2.5
マリリン・モンローの顔がプリントされただけのクソダサいMA-1やKBTITの様な網シャツでもドリス・ヴァン・ノッテンが作れば、信者はありがたがって5万でも10万でも出して買う屈折した歪な世界。俺がアメ横や巣鴨や鶴橋で適当に買ってきたレディースの七分丈の豹柄シャツをスーパーモデルに着せて歩かせてもたぶん10万で買う奴いるはず。
そもそもファッションショーがズルい。9頭身とかのスーパーモデルに着せたらどんな服でも芸術的に見える。買うのも着るのも一般人なんだから、普通の体型の人が着て格好良くなる服を作るのが本質だろ。ギャートルズみたいな沢尻エリカのディオールの衣装も、スーパーモデルが着てるのを見ればめちゃめちゃかっこいい。沢尻エリカで無理なら適合率0.01%も無いよ。
作中でアクセサリーばっかり売れてるとか愚痴ってたけど、アクセサリーは誰が着けても格好良くなるし、同じファッションでも服とはカテゴリーが違うと思う。

トレンドが地味だったりシンプルだった時も自分は敢えて逆行して華やかでカラフルなボリウッドみたいな作品を作って評価されたとか言いながら、デザイナーの本人は最初から最後までA.P.Cやポール・スミスや無印良品で売ってる様な地味めな服を着てる。本人以外の取り巻き全員が誰もショーで発表された様な服を着ていない。よくこんな矛盾した生活してるくせに、「私はリラックス出来る服を作りたいんだ」とかのたまうよな。刺繍の無間地獄に放り込まれたインド人がギュウギュウ詰めでビーズを縫ってるシーンは、現代社会の縮図を見せつけられた様で悲しくなった。
流行ってた当時からビッケンバーグは印象良くて、ドリス・ヴァン・ノッテンはなんとなく好きじゃなかった理由がなんとなく腑に落ちた。感覚的な問題でおそらくただのこじつけだけど。

LGBTに寛容であろうと思ってても、還暦近い翁二人が何度もキスして恍惚の表情を浮かべてるのはさすがにキモ過ぎた。隠れてやって下さい。
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