Pam

となりのテロリストのPamのレビュー・感想・評価

となりのテロリスト(2017年製作の映画)
4.3
となりのトトロならぬとなりのテロリスト!

最初の食事シーンでかなり期待させられる。ええ、こんな撮り方してもしかして・・と彼らが誰かはわからない。男3人女1人。誰かがカップルでもなさそうだ。。

バスクのテロリストってそういえば1990年代はちょっと過激だったのを覚えている。

つかみはいいヨーロッパらしい深い色やグルメシーンでぐっとくる。しかも舞台はフランスバイヨンヌ。あの、ハム、そしてフレンチバスクの海バスクまんまの街。そしてこのハゲのおっさんがあのTalk to herのあのおしゃべりゲイの看護師さんだと気がついてこれはおもしろそうだろ。とぐいぐい引き込まれてしまった。

そう、これはテロリストたちの食事のシーンだったのですね。

中盤はかなりだるい。ドタバタではないことは言っておく。まぁだるい。でも色々、世界中の古典テログループの名前を出してきたり、(深い議論にはならない)おちょくりもある。横のおばさんともっと絡みやハラハラドキドキがあるのかと思ったらそこまでではなかった。グルメという文化香をもつ古き良き人という感じで匂わせたかったのだろうか。おちょくりなのか、まじなのかがわからないような時間が続く。スペインの若者らしくカナッペでテレビには笑うしかない。テレビではなくもっとネットで遊んでる若い同士の姿も先代との対称として演出できたのではないだろうか。

そして最後のどんでん返しにはまいった。花火のシーンがまるでFight Club状態で、かなり高揚させる。そして結びへ。
Van Damm と、トラックに書いてあるのも中年の涙を誘う。劇中結構スタローンって出てきてたよねぇ。そうそう、そういえば、スペイン人って、スタローンって言えないの??エスタローンって聞こえたんだけど。(このあたりは見てからのお楽しみ)

とにかく起承転結の起が10%承80%転8%結2%の長さに感じる、最後まで見ないとだめですよー。クライマックスでがががんですから!彼らの残虐性、深い罪深さも見せてくれる。そして静かに変化していく組織のあり方見るのがいいだろう。

それにしてもこんな映画作ってETAは怒らないのだろうか?いや、もう組織は2018年に解体されてるから意味はないのだろう。ただ、多くの人を殺したり、多くの犠牲を出した傷跡は残るだろうが、ひとりひとりの形としてバスク同士たちの生き方につながっていったんだね。

世代交代がうまく行かなかったのか。私は昔のテロのニュースをオンタイムで聞き、そしてその頃はじめてバスク地方に電車でいった頃を思い出した。(夜行で行ったから、実はビビってた)



赤軍派や浅間山荘もドラマにされもうすでに過去の軽い事件の一つに成り下がった今、この映画は再現ドラマではなくそのもののフィクションでありニヤッと笑える中年殺し作品。悲しくもあり、寂しくもあり、そして誰もが支持はしないが熱かったあの時代を懐かしむ。。。
Pam

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