Benito

十年 Ten Years ThailandのBenitoのレビュー・感想・評価

十年 Ten Years Thailand(2018年製作の映画)
3.4
【 10年後のタイについて 】

人口6900万人のタイ(タイ王国)は2014年に軍事クーデターが起き、それまでの憲法と議会が廃止され軍事独裁政権が続いている。その政権下の2017年に製作された10年後の未来を描いた映画。
香港版と異なるのは、その状況をダイレクトに表現することを避けつつ、観るものに巧妙にメッセージは送ろうとしている。

5つのエピソードがあるが、
1「Sunset」
2「Catopia」3「Planetarium」
4「Song of the City」
1と2のコントラストも強烈だが、3のシュールで計算されたチープな世界も面白い。監督陣も香港や日本版と違い中堅を起用して、色々な意味で個性的。

映画の最初にはこんなメッセージが。
'過去を支配するものは、未来を支配し、現在を支配するものは過去を支配する'
「1984」ジョージ・オーウェル

これは、小説のなかにある国家イングソック(Ingsoc)のイデオロギー。かつて知っていた事実を今後は嘘であるとし、新しく捏造された「過去」を信じることによって、それは現実となる。これにより未来までも支配することになるというものだ。
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