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Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~のmiumiuのレビュー・感想・評価

4.2
アーティストもの、モノづくりの話に弱い。この作品を観て、作家モノやはり好き! と再認識した。
チャールズ・ディケンズが『クリスマス・キャロル』を完成させるまでの過程を、登場人物たちとのやりとりも含めてファンタジックに表現した大人のクリスマス映画。
ディケンズの現在、ある意味トラウマにもなっている子ども時代、『クリスマス・キャロル』の登場人物との対話と、複数の場面が交錯するから、映画館で集中して観て正解だった。
作家モノはアーティストの純粋さゆえの悩む姿に泣いてしまう。
衣装や音楽も素敵。

貧しさに苦しんだ子ども時代の経験をもとに、常に誰かの役に立とうとするディケンズの姿勢に感動! と同時に、正義感はありつつ、執筆に没頭すると家族のことを顧みることができない神経質さ、実の父を許せない不完全さも描かれる。
ディケンズの父親も、快活で憎めない人物だけど家族には迷惑かけまくり。

『クリスマス・キャロル』はスクルージの改心ストーリー。映画で完全な善人とは言えないディケンズ父子を描くことで、いびつだからこそ善に変わりうる、人間の可能性を描いていたと思う。そうだよ、完全な善じゃなくてもいいんだよ。人間なんだから。

役者本人の演技を観られたらリピートしてたと思う本作(近くの映画館では吹替しかなかった)市村正親はスクルージ役(もともと演じているのはクリストファー・プラマー)。舞台でスクルージ役を演じているからこそのキャスティングらしい。
でもディケンズの父を演じたジョナサン・プライスとも、ミュージカル『ミス・サイゴン』で同じ役柄演じた繋がりがあるんだよね。父親役も観てみたかった。
チャールズ・ディケンズ役のダン・スティーヴンス、実写版『美女と野獣』の野獣役に続き、綺麗な碧い眼を存分に生かした演出が素敵だった。本人の声での演技も観たかったな!
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