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アース:アメイジング・デイのTSのレビュー・感想・評価

3.7
【生命ありきの地球】79点
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監督:リチャード・デイル他
製作国:イギリス/中国
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:94分
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2018年劇場鑑賞104本目。
10年前の『アース』の続編。ですが今作からでも全く問題ありません。正当なネイチャードキュメンタリー映画であり、三年ほど前にやっていた『シーズンズ』のようなやらせ感やCGはなし。確かに宇宙から見た地球などの映像はやや違和感はありますが、それ以外は文句なしの映像美、臨場感。他の人も言及してる通り、どうやって撮影しているのか気になるところ。製作陣の途方も無い苦労を感じ取れる作品といえます。

吹き替えは佐々木蔵之介。まずまずのナレーションであり落ち着いていて良いです。地球のとある一日を、世界中の動植物に焦点をあてて撮影していくというもの。この手の作品が好きな方からすると、既視感満載の映像も確かにあるのですが、同時に見たことのない斬新な映像も豊富です。
例えばヒグマが、背中がかゆいからといって木に背中を擦りつけまくるのは絵的に面白いですし、キリン同士の決闘なんてあの首のリーチをふんだんに利用していますからかなり興味深い。冒頭の子イグアナvsヘビの逃走劇も見応えがありますし、最後まで飽きない構成になっています。

また、人間が暗黒を克服したのも考えさせられました。そもそも我々人間も、本能的に昼より夜の方が不安になるはず。現代世界の夜といっても都市にはネオンライトが広がりますし、人間は暗黒を避けるために光を自分で生み出してきたのです。夜行性の動物は置いといて、人間をはじめとした類人猿は恐らく夜を嫌がる。このあたりも興味深かったです。

音楽も映像も良いですし、程よくナレーションが入るので勉強になります。弱肉強食の世界にありがちなグロいシーンは抑えめなので、小さい子からも楽しめる、むしろ小さい子にも見てほしい作品であります。その分、グロいシーンが抑えられているということは、自然界の厳しさをカットしてるとも捉えられるのでそこは少々物足りない。果たして子シマウマが川を渡り切れるのが稀なのかそうではないのか。今作を見てる限りではあまりわからないのです。つまり、今作は良くも悪くもキレイなところばかり撮られているので、厳しい自然界の映像を期待する人からするとやや物足りないのかもしれません。

それでもやはり今作を映画館で見ていると地球は素晴らしいと思えますし、生命ありきの地球ということも再確認されます。恒星と惑星の距離が絶妙に良いため水が生まれ、そして生命が生まれる。宇宙は広いので恐らくどこかに生命はいるのでしょうが、やはりこの地球に生まれたことに感謝しなければならないでしょう。自分は何故ここにいるのか?自分は何者なのか?そういう哲学的なことも考えれる一品です。単純に敬虔な気持ちになりたい人に特におすすめしたいです。
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