内容的には大体読めてしまうので、あっというような驚きは少ないが、心理の歪みや疑いの気持ちをカメラで表現するという静かなタイプの映画で落ち着いて観ることができる。映画は白黒。これもキャラクターの乾いた無機質な世界を表しているのかもしれない。森の中で独りで暮らす引退した精神科医の元に、若い女性の患者が送られてくる。住み込み状態で治療を進めるうちに、医者の方の精神にも歪みが生じ…という展開で、だんだんと観客を迷走させる方向なんだが、オチで上手く片付けているものの、謎がいくつか湧いてくるというのも事実。でもこの気持ち悪さが、じわっとした人間の思い込みとか見えてる世界の歪みを感じさせてくれるのかもしれない。
結局なにが本当なの、と。
あんな山奥に住んでみたい。でも一人暮らしはさすがに怖いか。素敵な家だった。
