人の暮らしを記録するということは、必ずしも事実を映すことだとは限らない。
サモア諸島をフィールドに映像作品をつくることを決めたロバート•フラハティ監督は、そこに住む人々を起用したが、当時すでに廃れていた慣習を再現することを試みた。ある結末を見据えてストーリー構成もされている。音や音楽も、1980年に娘のモニカ•フラハティ監督が改めて現地に赴き収録したものを映像に合わせたもの。この音と音楽が、私たちをサモアののどかで豊かな暮らし招いてくれているようで心地良かった。
ドキュメンタリーというジャンルは、この作品が初めて公開されてからずっと後に確立したものだけれど、ドキュメンタリーにおける演出の意味を考えさせるものだった。