ふき

カメラを止めるな!のふきのレビュー・感想・評価

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
5.0
ぽん!(挨拶)

ENBUゼミナールという映画系専門学校のワークショップ「シネマプロジェクト」で製作されたインディーズ作品。
予算三〇〇万円、撮影期間八日間、キャストはほぼ無名の新人ながら、(概要でさえこんなことしか書けない)。

ネタバレになるようなことは書きませんが、皆さんが口を揃えて「まず見に行け!」というように、事前情報がなければないほど初回の驚きが増す映画です。
評価が大きく宣伝され、公開規模が拡大され、ネタバレに触れる危険が格段に上がってしまったので、なにはともあれまず見に行ってほしいです。

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序盤の三〇分ほどは「まあまあまあまあ、そりゃ三〇〇万だからね、まあーこうなっちゃうよね、まあね」と産まれたばかりの小鹿を眺めるような笑顔で見ていたが、徐々に本作の映画観に乗せられ、気付けば爆笑しながら号泣していた。
「寄ればホラー、引けばコメディ」の境界を一作品の中で飛び越え、混ぜ合わせ、そのどちらでもないところに着地するお話は見事としか言いようがなく、脚本を入手して全場面を検討したい欲求に駆られる。

「低予算でもアイディア一発でいいものは作れる」という点は事実なのだろうが、本作は、この体制で“あの第一幕”を成立させてしまった上田監督の手腕に注目すべきなのではないか、と私は思った。八日間の撮影に向けてどの程度の準備期間があったかは分からないが、監督がどのような戦略で本作を組み立てていったのか、メイキングやドキュメンタリーで詳しく知りたいと思う。

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ああ、ネタバレしないと書けることがない。ほんと、ネタバレを食らう前に見に行ってほしい。
ポスターアートで「ホラーなんでしょ?」「血みどろのグロ映画なんでしょ?」と思っている方には「予算三〇〇万なので、嫌悪感を及ぼすレベルの肉体破壊系グロはないです」、「B級Z級映画の珍奇さを生暖かく見守る映画なんでしょ?」と思っている方には「そうできるのが理想だけど、いつの間にか普遍的なお話に展開します」と背中を押したい。
序盤の三〇分で欠伸したり鼻で笑ったりしてた隣の席のおじさんが、最後は私と似たテンションになってたくらいだから。
あと、「『アベンジャーズ』って戦闘も面白いけど、キャップと社長が言い合いする場面がいいんだよね」と思っているような人にもオススメしたい。

はい、では劇場に走ってください、よろしくでーす。

↓ネタバレとまではいかないけど一応隠したい部分を、ちょこっとコメントに書きます。
ふき

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