「男女の壁」という限りなく普遍的なテーマを扱いながら、それをさらりと語ってしまう凄い作品。
セリフの量は控えめで、さりげないしぐさや描写を積み重ねる語り口なので集中力を求められるが鑑賞後に心地よい疲労感を感じる。
PT・アンダーソンは「マグノリア」あたりまではぐりんぐりん移動撮影を多用する「動」の人だったが「ゼアウィルビーブラッド」あたりから明らかに芸風が変わっている。
本作は「レベッカ」を意識したらしいが、アメリカ人監督の作品でありながらたっぷりとヨーロッパの匂いがする。
「語りすぎず語らなすぎない」という絶妙な演出のさじ加減には唸るしかない。
面白くはないし、好きでもないが本当に凄い。