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ベン・イズ・バックのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【信じないけど見放さない】

リハビリ施設に入っていた薬物依存症の息子Benが、予定外の帰宅。
クリスマスプレゼントだ!と大喜びする母親に対し、警戒する妹と継父。

回想シーンはないものの、やり取りからBenの過去が見えてきます。

終始振り回されても、何度裏切られても、息子を見捨てられない母親は、警察には頼りたくないと、自力で解決の道を模索します。

依存症の人の言うことを信じてはならない。
たとえそれが可愛い我が子でも。

依存症である自分の言葉を信じないで欲しいと言いながら、更生の意欲だけは信じて応援して欲しい、そんな矛盾をなかなか理解してもらえない、自分の良心を家族に信用してもらえない辛さ。加えて、そこかしこに散らばっている誘惑をその都度断ち切らねばならない苦しみ。

薬物は使用者だけでなく、その家族からも平穏な日々を奪う。多くを不幸へと巻き込んだ罪が重くのしかかる。

更生の道に進もうにも、売人やヤク仲間がまた闇に引き戻す。

治るまで信じてはならない、けれど、決して見放さない支援者の存在が不可欠なのだと分かりました。「被害」を受けやすい家族にはむしろ難しいのかと思えましたが、シェルターから引き取ったという愛犬は、言葉が分からない分、この課題を難なくクリアしていました。

現役addict役も出て来ますが、どっぷりヤク漬けの人は、あんなに綺麗ではいられないのではと思いました。自分が診た人は、身体の一部が人間には見えないお姿でした。

Benは真摯に更生に励んでいるように見えたけれど、突然帰ってきている時点で既にアウトだったんですよね。そこでクリスマスだからと甘やかさずにきちんと戻せば良かった(だけのこと?!) 。ひとつの判断ミスが引き金となる災難。この母親も一緒にカウンセリングで学んだ方が良さそうです。

目覚めたBenは、元のBenに戻れる日が来るだろうか…。

Julia Robertsの演技力で引っ張るような作品でしたが、一度ハマったら容易に抜け出せない薬物依存の恐ろしさは伝わりました。
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