ベンを務めた主演ルーカス・ヘッジズの父親でもあるピーター・ヘッジズが監督を務めたサスペンス・ドラマ。ピーターはあの名作『ギルバート・グレイプ』の原作者でもある。
アメリカでは、オピオイドの過剰使用による中毒者数の増加が後を絶たない。特に若い世代への影響は深刻で、本作が公開された2018年当時ですら、12歳以上の青年5300万人超がオピオイドによる中毒状態にあった。ベンもその中の1人という訳である。
心の底からベンを歓迎する母親ホリーを、ポジティブお化けのジュリア・ロバーツに演じさせるというキャスティングの妙には恐れ入った。ここまで感情の起伏が大きい役どころを演じる彼女を見るのは初めてで、その意外性がとにかく見ていて面白い。
ベンが帰省してから一家の雰囲気はガラリと変わり、こいつが再び何か仕出かすのではないか…と疑心暗鬼に駆られる。そしてベンに数々の誘惑の手が忍び寄るたび、見ているこっちも気が気ではない。緊張感を維持した話運びで、決して退屈はさせない。
問題となるのは真相が明らかになる中盤以降の展開で、ベンのクズっぷりが度を越しており引いてしまう。いくら何でも彼らを擁護する気になれない…という意見が大半だろう。もちろんこれは監督の意図的な計算で、ホリーが息子のために全てを犠牲にできる狂気性を秘めていたからこそ、物語に力強さが生まれたわけだ。
しかしそれを百歩譲っても、やっぱりコイツらは無責任で自己中なダメ人間だと思う。
⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:82%
・観客支持率 :69%
「爽やかで控え目な本作は家族ドラマの固定観念を覆し、ルーカス・ヘッジズとジュリア・ロバーツの素晴らしいパフォーマンスを提供している。」