ぬ

ブレードランナー ブラックアウト 2022のぬのレビュー・感想・評価

4.0
オリジナル版(2019年)から3年後の世界、新作の2049のストーリーへ繋がってゆく原因不明の大規模停電の真相を描いた作品。
監督はカウボーイビバップの渡辺信一郎、音楽はFlying Lotus!やったー!
これが無料で観られてしまっていいのだろうか…ありがたや

2049の前日譚短編作品3つの中で一番オリジナル映画に時代設定が近いということもあるのか、世界観も今作が一番オリジナルに近い。
巨大なビルボードに映る「強力わかもと」っぽい着物の女の人、パンナム社の看板、音楽など、オリジナル版への愛とリスペクトが感じられてよかった。
さらに、オリジナルに出てくる折り紙おじさんガフが出てきて、デッカードについて言及するシーンもある。
(英語版ではガフの役者さんが声を当ててるらしい!)
レプリカントの少女トリクシーへそっと舞い落ちてきた白い羽に、ロイ・バッティの手から飛び立っていった鳩を思い出した。
渡辺監督のインタビューで、「オファーが来た当初は好きなキャラであるロイ・バッティに関するエピソードを作りたいと思っていた」と言っていたから、ロイへのオマージュもあるのかな、と感じたけどどうなんでしょう。

この作品ではレプリカント達が、レプリをれプリたらしめるものを消滅させ、人間に近づこうとする姿が描かれている。
その姿はますます、人間とレプリを隔てるものとは何なのか、レプリカントである条件、人間である条件、その境界の危うさを印象付ける。
オリジナルでも2049でも描かれているこの問いかけが、より強く感じられた。

オリジナルの世界観を踏襲しつつ、実写とは違った2Dアニメの魅力たっぷりに描かれていて、特にトリクシーのアクションや、イギーの体験した戦争の描写などはアニメならではという感じで印象的。
アニメとなるとキャラデザがとても重要だけどとてもよくて、特にイギーが渋い。
日本の平面アニメとSFの相性はバツグン。かっこいい。

Flying Lotusはスペースダンディがお気に入りらしい。
ぬ