明月

日日是好日の明月のネタバレレビュー・内容・結末

日日是好日(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

大学生ののりこ。
お茶を習い始める。

頭で考えないで、自分の手を信じなさい。

夏のお点前と、冬のお点前は変わる。
炉になったから、夏のことは忘れて、目の前にあることに気持ちを集中するのよ。

出版社を受けたけど、落ちてしまい就職しないというのりこ。
他にも受ければ良かったのにと従姉妹のみちこに言われて、やりたいことじゃないと。

映画の道を子どもの時に観て、全然わからなかった。
今観たら、これで感動出来ない人生なんて勿体ないというほどに感じる映画だった。
「あんたにとってのお茶ってそれじゃない?」

初釜の日。
お師匠が濃茶をいれてくれる。
なごやかだった空気が変わる。
先生の所作は、どこかに丸みがあった。
山の湧水のようにスーッと身体に染み込んでいく。

本物をたくさん見て、見る目を養うのよ。

夏至の雨と秋雨の音は違う。

文字を頭で読まないで、絵のように読めばいいんだ。すごい掛け軸って。

水音は心と身体に染み込んでいった。

立冬。
微かな音の違い。
お湯の音と水の音。

大暑。
自分の中にあった幼い感情が時折湧いては消えていった。
自分のなかで何かが変わった。

みちこが、会社を辞めて見合いして結婚するという。
大学を卒業してから3年。
出版社の就職試験を受けることにするのりこ。

ダルマの掛け軸をかけてくれた先生。
みちこは結婚して家庭を持った。
みちこは先へ先へ行ってしまう。
のりこは、30歳。
15歳の高校生ひとみちゃんがお茶のお稽古にくる。
ひとみちゃんには、すごい素質があった。

柄杓を持つ手がごつく見える、と先生に指摘される。
10年以上も稽古してるんだから、そろそろ工夫と言うものをしなさい。

ここにも居場所がない。

挙式2ヶ月前に相手の裏切りを知った。
駅のホームで大泣きするのりこ。

大寒。3ヶ月休んでいたお茶のお稽古を再開する。
立春。
いつ辞めてもいいじゃない。
ただおいしいお茶を飲みに来ればいいじゃないの。

33歳、実家を出て一人暮らしを始めたのりこ。
土曜日は、実家に寄ってお茶のお稽古。

お茶事をするためのお稽古である。
一生に一度限りだと思っておやりなさい。
利休の時代は、一度別れたら、二度と会えないかもしれないから、そういうつもりでやりなさいってことかも。

清明。
お父さんからの電話。
用事で会えなかった。
お父さんが倒れたと連絡が来る。
最後にみんなでご飯食べたのいつだっけ?

桜が満開の日。父がいなくなった。
武田先生と縁側に並んでいる。
自分を責めちゃだめですよ。

人生で起きることはいつも突然。
心構えなんてできない。
あとはその悲しみに慣れていくだけ。

雨の日は、雨を聴く。
五感をつかって。
夏の暑さを、冬の身を切るような寒さを。
毎日が好い日。
そういうことだったのか。

12年後。
お茶をはじめて24年。
土曜日になると必ずお茶に行った。

初釜。
毎年毎年同じことをしているんだけれども、同じことが出来ると言うことが、幸せなんだなぁと思う。

世の中には、すぐわかるものとすぐわからないものがある。
すぐわかるものは一度通り過ぎればそれでいい。
すぐにわからないものは、長い時間をかけて少しずつわかってくる。

教えることで、教わることがいっぱいあります。

ここからが本当のはじまりなのかも。


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本質をつくものは、いずれも変わらない道があるのだ、と思った。

日本語は美しいのだな、
日本の四季は素晴らしいな、
道の型(茶道)には大変な奥深さがあるな、
いろいろ感じることの多い映画だった。

樹木希林、黒木華が素晴らしい。
明月

明月