NicoJay

日日是好日のNicoJayのネタバレレビュー・内容・結末

日日是好日(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

多部ちゃん出演作品ということで鑑賞開始。
するとじきに、多部ちゃんはある意味この作品のアクセント的な存在で、「昭和的」「純日本的」などと評される黒木華、そして樹木希林が主要人物であると知れた。
まずこのキャスティングが素晴らしい。黒木華、樹木希林、そして多部未華子。この誰が欠けてもこれほどの完成度には至らなかったと思う。
典子の父母(鶴見辰吾/郡山冬果)も忘れてならじ。

始まって間もなく、まだ大学生の典子(黒木華)とその従姉・美智子(多部未華子)が、武田先生(樹木希林)のもとへ茶道を習いに行く。
といっても堅苦しさは程々で、習い始めの女子大生ふたりには無邪気な好奇心があり、先生も飄々とした佇まいを見せる。
作法に関し「なぜそうするんですか?」と訊いてくる二人に、「なぜって、まー、んー、とにかくね、そうするの」と応える武田先生。
樹木希林さんの表情や間が絶妙でユーモラスでもあり(じつは深い言葉なのですが)、そうやって観る者を自然に引き込んでいくあたり演出がじつにうまい。

その後いろいろある中、長い年月をかけて典子は『日日是好日』の意味を自分なりに見つけるに至る。
そのへんがこの作品の要点なのだろうが、
「子供の頃ね、『道』っていう映画を見たの。でも全然分かんなかった。でね、この間もう1回観たら、すっごい映画だった。この映画で感動できない人生なんて、もったいないって思ったくらい」
まだ若い典子が、海岸で美智子に言ったセリフ。
この作品もまた、全然分かんない人と、すっごい映画だと感じる人に分かれるのかもしれない。でも、それでいいのだと思う。

どちらかというと、終盤の典子の年齢かそれ以上の人がウンウンと頷きながら己の何かを確かめる作品なのではないかと思った。
子供と一緒に観て、子供が「とにかく地味。何がいいのかさっぱりわからない」と言うのを目を細めて聞くのもまた一興か。
NicoJay

NicoJay