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日日是好日のTのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
4.5
とても良い映画でした。
とりわけ主役。樹木希林さん。
亡くなられたのがとても悔やまれる。
完全に、若い子達は、食われてしまうほどの演技。そして着こなし。

「ザ・女の胆力」俳優さんも、そしてお茶頭さんも。役ともに。

私は野暮だから手で覚えず、口に出して覚える、覚えようとしている。

茶室は、ハッキリ言えば誤魔化しが一切効かない。台子手前とも違い、もてなせる客人は、ごく僅か。

密なのである。
「あそび」がなく密なものは、よく響く。
粗(疎)ものは、様々な要素を吸収してしまうのだ。
そして粗(疎)も密も極めてしまうと、所作が目立ちすぎる。
ゆえに、少しの「あそび」が必要だがそこまでは、守破離を経てから。

ディオゲネスは樽にこもり思索し、入山する禅僧しかり。

慈照寺東求堂から発祥したといわれる室礼も作法も、削り方つまり引算として洗練してきたのだ。

驚愕したのは、「湯」と「水」のとろみの違いだ!
まさに、湯になると、「和かく」なるではないか。

茶室の設計は、高層ビルより難しいといわれる。
その削り具合は、引算だがあくまでもマイナスになってはいけないのだ。
ご興味があれば、藤森照信先生がお詳しいでしょう。

お作法で、素晴らしかったのは三人共に髪が殆ど揺れない。礼式の基本であろう。

そして、彼女は一生の殆どの時間をあのお茶室で客人とお弟子さんと過ごすのだ。造る大工も庭師もやおら生半可な若僧にはできない。

まあ、知ったかしてますが、漫画「ひょうげもの」の影響がデカいのだ私は。知識の殆どはコレ。素晴らしい漫画ですぞ。

昔みた、床の間が懐かしい。何かの雑誌に出ていたのだが、縦にガラスを並べ外光と照明でうっすら光るのだ。コグチが。

一番よかったのは、丿貫を彷彿とさせる、破顔の笑顔で"ただお茶を飲みにくればいいじゃない''の一言。

父よそろそろ私も人様の為に定規を握ってもよかろうか。
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