LalaーMukuーMerry

シークレット・スーパースターのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.3
インド西部、ヒンドゥー教ではなくイスラム教の家庭の15歳の娘インシアによるスター誕生物語。彼女の歌がとてもよい。
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インドにおけるフェミニズムの現状とあるべき方向性を示すことも主眼のひとつ。社会的地位は高そうなビジネスマンの家庭だけれどドメスティック・バイオレンスが日常の夫と妻(父と母)の関係。
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娘の夢をかなえてやりたい母親と、母親を救いたいと思う娘。
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母が無理して買ってくれたパソコンで、SNSに動画投稿して、ネットで話題になって話が動き始める。 怖い父親にバレないように、ブルカで顔を隠して動画を流し続けたからアーティスト名は「シークレット・スーパースター」。
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彼女の夢の実現を手助けしてくれたスター(=アーミル・カーン)が女性蔑視で口の悪い酷い野郎のはずなのに、音楽のためならと(金儲けのためかもしれないが)、自分の天敵である女弁護士をインシアに紹介してくれるという、実はとてもいい奴な面もあって、皮肉というか、人間は単純ではないことを教えてくれるのも面白い。
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ネットから有名になって人生を切り開くのは、「ガリーボーイ」と同じ。古い家長制度を否定的に取り上げるのも同じだが、あっちは実話で、こっちはフィクション。でもフィクションならではのわかりやすさと感動があります。(終盤の演出がドラマチック過ぎるのがちょいと鼻につくけど)ラストの歌ではオイオイ泣ける良い映画。
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彼女に片思いの同級生の少年(チンタン)もいい奴だった。