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ドイツ・青ざめた母のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ドイツ・青ざめた母(1980年製作の映画)
3.2
【罪悪感を抱きながら生きる】
TSUTAYA渋谷店からVHSがなくなってしまうようなので、VHS時代の映画を観てみた。『ドイツ・青ざめた母』は1981年のカイエ・デュ・シネマベストテンに選出された作品である。戦争を生き延びるとはどういうことかを痛いほど突きつけていく話であった。

「母はナチスに反対していたが何もできなかった。」

このことに対する思索を巡らせながら主人公ヘレネは第二次世界大戦を生きようとする。戦争によって彼女はハンスと引き裂かれ、空襲の中で出産する。この場面は強烈であり生命の誕生である出産の運動と産み落とすように爆撃されていく破壊の運動が重ねあわされる。彼女は子ども共にボロボロになった街中を彷徨うなかで生きていることの罪悪感と生きなければいけない想いの中で引き裂かれそうになる。全体的に内なる葛藤を描いており、映画というよりかは小説で扱った方が良さそうに思えたのだが、それでも晴天の中丘の上で処刑される描写のショッキングさや、廃墟と荒廃した心を重ね合わせた時の強烈な主張には惹き込まれるものがあった。

『この世界の片隅に』ではなかなか見えてこなかった、生きてしまった者の葛藤が見え隠れする作品と言えよう。

※ずんだもん動画作りました
【ずんだもん解説】TSUYAYA渋谷店からVHSが消滅!?なくなる前に観ておくべき映画10選【VOICEVOX解説】▼
https://www.youtube.com/watch?v=0xdOJtCHETs&t=7s
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