Mikiyoshi1986

レイニーデイ・イン・ニューヨークのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

3.6
昨今のハリウッドを取り巻く"キャンセル・カルチャー"の矢面に立たされ、イタ~い過去を蒸し返されてしまった御年85歳のウディ・アレンでしたが、
そんなゴタゴタを押し退けなんとか公開に漕ぎ着けた最新作。
前作に引き続き撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ御大の名ショットが唸りを上げまくる!

何度も言ってるけど映画業界で名を馳せてるヤツ(本人含む)なんて実際ロクでもない人間ばっかだよ。
という、アレン節が今回も炸裂。
ピュアさと容姿だけが取り柄の浅学非才な小娘相手に、高名な業界人たちが欲望丸出しで群がる滑稽さをこれでもかと意地悪く描破するアレン…。

一方で才色兼備を持て余す主人公ティモシー・シャラメ君が監督の胸を借り、ルイ・マル『鬼火(1963)』よろしくな感じで鬱屈した青年期のモラトリアムを携え雨のニューヨーク内を彷徨います。
果たして、育ちの良いお坊っちゃまの小さな反抗がもたらす末路とは。

とにかく本作は今をときめくZ世代の超有望俳優たちがしのぎを削り、アレン作品の中でも最も瑞々しい作品になったのではないでしょうか。
セレーナ様は若干キャラにハマれてなかった気もしますが、まぁ終わり良ければすべて良し!
あとシャラメ君×馬車で『ストーリー・オブ・マイライフ(2019)』を想起したのはきっと私だけではないはず!

全体的にアレン往年のクラシックスな雰囲気を醸し出しつつも、iPhoneの存在が現代の利器を際立たせるマクガフィンとして添えられていたようにも感じました。

またエル・ファニングが披露した白磁器のような肢体も大変素晴らしかったので、ウンナナクールは是非とも彼女に大金を積んで広告塔になってもらいましょう。

紆余曲折あれど最後しっかりロマンチックに持ってゆく筋書きは『ミッドナイト・イン・パリ(2011)』さながら!
甘い余韻に浸らせていただきました。
Mikiyoshi1986

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