このレビューはネタバレを含みます
あっさりとした映画なのに、奥行きがあってかなりよかった。
雨のニューヨークが醸し出す憂鬱と人生に不満を感じている青年の物憂さがベストマッチ。
雨の日に馬車に乗ることをロマンティックと言うギャツビーと嫌だわと言うアシュレーは違う価値観で生きている人だった。
自分と違うからこそ惹かれていたのは事実だと思うし、共感できる。
ギャツビーがアシュレーを癒しだと言うのはそういうことだと思う。
アシュレーが曇ってきて嫌だと言った瞬間、ギャツビーが確信するところが好き。
成功した実家と成功した恋人に囲まれて、窮屈さを感じながら生きていた青年が、自由奔放な女性に出会い、母の過去を知ることで、自分のままで生きることにする話。
物憂いギャツビーと多幸感のあるアシュレーの対比がよかった。
ギャツビーは繊細でクズなところがアーティスティックで素敵だし、アシュレーはある程度鈍感で社交的なところがエネルギッシュで素敵だ。
「現実は夢を諦めた人の世界よ」
確固たる面持ちでのこの言葉、かなりよい。
「君は太陽の下で輝き、僕は曇り空の下で息づく」
詩的でかなりよい。