エソラゴト

レイニーデイ・イン・ニューヨークのエソラゴトのレビュー・感想・評価

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かれこれ2年前に前作『女と男の観覧車』鑑賞直後、ウディ・アレン監督の記念すべき50本目の次作は今をときめくティモシー・シャラメとエル・ファニング共演のNYを舞台としたラブコメだという情報を聞き付け小躍りしたのを記憶しています。

その後、折からのmetoo運動でウディ監督の身辺も騒がしくなり今作が完成しているにも関わらず日の目を見ずにお蔵入り…なんて噂を耳にして非常に落胆したことも憶えています。

そんなこんなでまたしばらくしてここ日本でも公開される見通しが付いたと聞いた時はホッと胸を撫で下ろしました。(因みに本国アメリカでは未だ公開は決まっていないとのこと)

そんな状況もあり日本での公開日は偶然とはいえ図らずも梅雨のこの時期というなんとも出来過ぎなシチュエーション。個人的に普段から雨自体苦手でしかも生粋の"雨男"なのですが、今作を鑑賞してこんなにも雨そのものに特別な感情を抱いた事はありません(当然ながら鑑賞当日は雨模様泣)

これまた偶然なんですが、自粛解禁後に観た2作品で印象的な役どころだったティモシー・シャラメとセレーナ・ゴメスが今作でもキラキラと輝きを放っていてNYの街並みと揃って彩りを添えておりとても魅力的に映りました。

特にティモシー・シャラメは『ストーリー・オブ・マイライフ〜』同様、時代は現代ながらセレブで奔放な青年キャラを生き生きと瑞々しく演じており、しかもお得意のピアノの弾き語りまで披露していて彼のファンならそりゃもう目が釘付けでしょう!

もちろんエル・ファニングも出てくる出てくる男性陣を文字通り片っ端から虜にしてしまう天真爛漫で天使のような存在感は今作でも圧倒的でファンでもある私の目もそりゃもう釘付けでした!(笑)

そして何かフワフワとした何者でもない青年が生まれ故郷のマンハッタンで親や他人との関わり合いで己れのアイデンティティを再認識するという展開はウディ・アレン監督作品に強い影響を受けるマーク・ウェブ監督の『さよなら、僕のマンハッタン』を思い起こしました。

不安定な空模様と同様に様々なハプニングの重なりで予定と人物関係と登場人物達の心情がコロコロと変わっていく様子は、たった1日半の出来事とは思えない濃密で凝縮された素敵な瞬間の連続でした。そしてその瞬間瞬間を独特の切り口でフィルムに収めたウディ監督の健在っぷりと溢れんばかりのNY愛を感じなんともあっという間の1時間半でした。

小雨混じりだった外は鑑賞後には晴れやかな星空に包まれて…いる訳もなくワイパー最大でも前が見えなくなるくらいの強い雨足の中、ノロノロ運転で無事帰途に着きました(汗)