mimitakoyaki

こどもしょくどうのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

こどもしょくどう(2017年製作の映画)
3.7
子ども6人や7人に1人が貧困と言われる時代、ここ数年で子ども食堂も全国的に増えてきていて、食べることに困っている子ども達の受け皿になっていると聞きます。

この作品は、貧困の子どもを目の当たりにした食堂を営む夫婦が、お腹を空かせた子ども達に無料で食事を提供するようになるまでを描いています。
なので、子ども食堂の取り組みやそこを利用する子ども達の事を描いているわけではないですが、行政の手の届かないところで追い詰められる子ども達には胸が苦しくなるし、今日、明日生きることに困って救いが必要な子ども達を見て見ぬふりせずに、一歩踏み出すことの尊さを感じさせられました。

主人公は5年生のユウトですが、友達のタカシが虐められていても、助けることもできずに何もできません。
ですが、ネグレクトと貧困で困っているタカシをしょっちゅう家に呼び、食堂を営む両親がタカシに食事を出してくれています。

ある日、学校の行き帰りに通る河原で学校に行かずに車で寝泊りする姉妹と出会い、その子達の事が何かと気になり、こっそり食べ物を渡しに行ったりするようにもなります。

この姉妹が本当に可哀想過ぎて見てるのが辛いのですが、タカシに対しても姉妹に対しても、肝心な時に一歩踏み出せず見て見ぬ振りをしてしまうユウトが、何もできない自分に傷つき、それを必死で乗り越えようとするんです。

子どもだから考えも幼いし、何の解決にもならないのですが、目の前の困ってる子を何とか自分なりに救いたくて行動するユウトの成長が眩しいし、ユウトの純真さと優しさと勇気に、両親も一歩踏み出して行動するようになるところに希望を感じました。

2017年の作品ですが、新型コロナウイルスが猛威を振るう今、政府からの自粛要請もあって休業や失業で収入を失う人が多くなっているので、子ども食堂もより切実になっているのかもしれません。

自分のお友達やトランプにはポンとお金を出せるのに、生活保障の10万円もグズグズと出し渋る日本政府なので、こういう子ども食堂だって、多くはボランティアや寄付で運営しているといいます。
本来なら貧困対策は政府の仕事なのに、やる気がないからどんどん格差と貧困が深刻になり、結局人々の善意に頼ってるのが情けないです。
こういう活動に対してしっかり食料や運営資金を行政が出していって欲しいと思います。

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