ぺむぺる

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷のぺむぺるのレビュー・感想・評価

2.0
実話に基づく映画は、その作り込みの甘さを「実話だから」という言い訳に逃げ込むものも多く、それほど期待しないで見るのが常なのだが、本作も案の定不完全燃焼系の作品であった。

そもそも実話であることを喧伝されたところで、こちらのメリットとしては鑑賞後にwikiを開く楽しみがあるくらいのもので、「実話だから面白い」とは決してならないのだが、世の一般はそうではないのだろうか。実話ならではの不気味さを活かすなら、一定の見せ場や確たる視覚化を求められるエンタメ映画はとことん相性が悪く、キレの良いショートショートにしたほうがよっぽど有意義だと思われる。なればこそ、映画として成立した時点で〈フィクション〉と割り切って、事実にへつらうことなく面白い脚色をドンドコ付け足していってほしいと思うのだが、たいていの映画では超薄味か荒唐無稽な味付けになってしまうのが残念なところだ。

本作に登場する実在の「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」も、増築され続ける家の魔力は凄まじいものの、その視覚化としてはいま一歩。製作の都合もあろうが、似たり寄ったりの光景ばかりが目につき「迷路感」がまるで出ていない。さらに、そこに絡む第三者の安直かつ執拗にエモいストーリーも、本件の恐怖の本質を台無しにしているように感じた。

一つひとつの恐怖演出にはグッとくるものもあるが、いかんせんそれが尻切れとんぼなのである。煙はモクモクと立ち上っているにも関わらず、肝心の炎は一向に見えてこない。それにいきなり水をかけられて終わった、そんな感じ。
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