ゆずっきーに

ブレッドウィナー/生きのびるためにのゆずっきーにのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

カブール及びタリバン暫定政権の現勢を踏まえての鑑賞。2017年の作品で時代設定は今世紀初頭ということだが、そこから大きな発展をかの地が遂げていないであろうことは容易に想像がついてしまう。

現在進行形の凄惨な現実、という題材としては『トゥルーノース』の方が自分には刺さった。本作はややテンポが悪く、合間合間に差し込まれる象の寓話が伝えたいメッセージに上手く貢献できていないように感じた。
作中最後の台詞に作り手のメッセージが化体されていることは明らかだが、そうであるならば、街での女性達の扱われ方をもっと丹念に描いたり、男性サイドの生きづらさ(タリバン兵士とならざるを得ない生活の悲哀。主人公一家の命を狙う若者の狂気的な瞳などは傑出して素晴らしかったが)も拾い上げたりするとより一層作品に奥行きが出たのでは、とも思う。

演出として、食事の量が徐々に減っていくリフレインで貧窮を示したり、茶色い砂漠を背景に青い海の絵葉書の鮮やかさを際立たせたりなど目を惹かれる部分もあったが、全体にメリハリが少なく間延びしていた感もある。

勉強にはなる映画でした。
ゆずっきーに

ゆずっきーに