シネマヴェーラ渋谷大映女優祭で。

山田耕筰の童謡をテーマにした秀逸な児童映画（作曲者自ら出演）。
まだ土管が町中に並ぶ経済成長只中の時代、黒んぼ少年と継子の少女・渚まゆみが、盲学校の音楽会を開く為奔走する。島耕二の優しく厳しい視線が染み入る一本。こういうの朝ドラでやりなよ。

黒んぼを差別する貧しい少年達、それをバカにする金持の子供達、資本主義は「階層社会」である事が一番ダイレクトに見えた60年代前期。資産家の後妻の娘ゆえに、その境界者として苦悩する少女をベリーショートな髪の渚まゆみ（当時16歳！）が巧くないが故のひたむきな演技を見せ好感。
天井が高かったという大映スタジオ（御本人の記憶による）の見事なセットで作り込まれた夕景（島耕二は意図的にセットらしく撮っている）、中盤からの音楽映画としてのルック、何よりも盲学校の描写に見る現実的な視線と、娯楽職人監督として大映東京を支えた島耕二の仕事の記録として貴重な作品。
渚さんは62年には「斬る」に出演する。

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渚まゆみのJKっぷりにうっとり油断してると最後にトンデモないド迫力な大合奏シーンが出てきて唖然とする。ほとんど前衛映像にしか見えない。しかもそのシーンは全部妄想で映画は「これからも諦めず頑張ろう！」ってところで終わる。この開き直り感もたまらない。ケン・ラッセルの音楽映画とあわせて見たい。

面白かったです
60年も前の作品で、親すら生まれておらずその時代の知識も乏しい自分ですが登場人物に感情移入しやすいシナリオだったと思います
主人公のひたむきさやある種の無鉄砲さ、また成長など
こういった要素に心を揺さぶられるのに時代は関係ないのだと思いました
ラストは悲しくも希望に溢れていて、あの世界にずっと浸っていたくなります