ケンタロー

恋は雨上がりのようにのケンタローのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
3.5
「恋は雨上がりのように」この漫画は自分にとってちょっと特別だ。
琴線に触れてくる部分が多い…。

地元・横浜が舞台だし、登場する能見台駅や京急富岡駅を見ると京急で通学してた高校生の頃を思い出す。それに、大泉洋演じる近藤店長に近い年齢ということから感情移入が過ぎるんだな…(笑)

映画は、主演:小松菜奈の見事なまでの「橘 あきら」っぷりが実に素晴らしい!特に原作でも特徴的なあの眼、視線の再現度と言ったら…
あの三白眼で真っ直ぐに見つめられたら固まって身動きできなくなってしまうんじゃないだろうか…(^_^;)

そして、安定の大泉さん♪
正直、個人的には原作イメージとは違うのだが(実写では堤真一をイメージしていた)、大泉さんの近藤店長は、絶妙なくたびれ感、にじみ出る人の良さ、大泉さんならではの笑いの間など、見ていて面白いし何より安心感がある。
しかしながら、物足りなさを感じる部分があるのも事実。
これは本作の脚本上の問題でもあるけれど、やはり尺の都合もあって近藤店長というキャラの深堀りには至っていない…。

前述の小松菜奈の印象的な眼の演技に対して、大泉さんの眼には、原作の近藤店長が時折見せる ”鋭い視線” を感じることが出来なかった。大泉さんだと、ちょっと優しすぎるんだな(笑)

近藤店長が抱えている挫折感や劣等感、そして、あきらと接する中で、ふと頭をもたげる男としての欲望と葛藤…。

近藤店長の心中にくすぶるそれらの感情は同年代の男の自分からすると、その危うさと切なさにドキッとさせられるんだなー。

原作でも印象的な台風の夜の出来事…。
「君が俺の〇〇〇〇〇〇〇〇…」※ネタバレになるから伏せます

17歳と45歳、どうしたってすぐには埋めきれない時の流れと現実を突きつけてしまう近藤店長のキツイ一言。これが映画では少し軽く流されてしまっていたような気がする。

あきらの純粋さや輝きの中に自分自身が忘れていた大切なモノを取り戻し、あきらに還元していくところを爽やかに描ききっている大泉さんの近藤店長は、終始大人に徹していると言える。

個人的には原作のように、あきらに恋愛感情を抱き、葛藤する近藤店長が見たかったというのがホンネだ。

ま、あくまでも劇場版は、橘あきらにクローズアップした作品と言えよう。

そのため、あきらの点火役として、アニメでは未登場だった倉田みずきが存在するのだが、少々、唐突な登場になってしまっているのは否めない。演じる山本舞香はハマっていて申し分ないけどね♪

キャストでちょっと残念だったのは、唯一、喜屋武はるかを演じる清野菜名かな~。演技はとても良いのだけど、ルックス的に17歳の女子高生役はちと厳しいかなと…。失礼だけども、やっぱり大事なことだ(笑)

原作・アニメ・実写劇場版と、三作三様のエンディングが用意され、それぞれ賛否が分かれてもいるけれど、一つ言えるのは、いずれもクオリティはすこぶる高い良作ってことだ。

おそらくは「恋雨」は今秋~来春くらいでテレビドラマ化は間違い無いでしょう。ロケーション的に作りやすいし、確実に当たる作品だから、テレビ局が放っておくわけないし…笑

テレビドラマであれば各キャラクターの深掘りも出来るだろうし、原作のエピソードも盛り込めるだろうから、劇場版以上のキャスト(ここが一番ムツカシイけど)と、切なさ重視の仕上がりを期待したいと思う。

出逢えたこと、二人で一緒の時間を過ごしたことが自分の心を晴れ晴れしく変化させてくれた♪ そんな感謝の念をあらためて感じさせてくれる良き作品です。

恋雨のように桜木町駅北改札西口で待ち合わせた(笑)
そーいや、待ち合わせの時は雨だったけど、恋雨を観終えた時は雨上がってたな( ´∀`)