Tai

ゲティ家の身代金のTaiのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.4
これが大富豪が大富豪たる所以か!

世界一の富豪、石油王ジャン・ポール・ゲティ。
その孫が誘拐され、ゲティの持つ大金を狙って320万ドルの身代金を要求されるも、一切払わないと言い切るゲティ。
息子を思う母親と大富豪の金への執着が行き着く先は…?

世界的に様々な作品で扱われてきた誘拐事件というテーマ。
やはり被害者にとっても犯人にとっても一筋縄でいかないようです。
同じく大富豪に関わる誘拐事件としては「ハイネケン誘拐の代償」がありましたが、あちらは大富豪本人が拐われ、こちらはその孫が拐われるというもの。
家族が拐われるという事態に、よりゲティという人物の内側が見えた気がします。

ゲティに限らず「金持ちはケチ」と言いますが、考えてみれば自らの能力を発揮して大金を稼ぐことに成功した人たちからすると、その他の人たちは努力が足りない者と見えるだろうし、そんな者たちに自分が頑張って手に入れたモノ(金)を少しでも渡したくないというのも分からんでもないかもしれません。
何よりこの事件の場合は、簡単に身代金を払ってしまえば、第2第3の事件が起きかねないという危険性もあったかと思います。

しかし身代金が支払われないと命がない孫のポール。
監禁された彼に起きていくことが観ていて本当に辛かったです。
間違いなく人間不信になる!
そのことを理解しているポールの母親ゲイルが、犯人とゲティ、さらには世間からの声に追い詰められていき、八方塞がりな状態は本当に同情ものでした。
あ、元CIAさんが八つ当たりの餌食になってましたね(笑

事件解決までをハラハラドキドキで魅せるというよりは、どケチな世界一の大富豪ゲティがどのような人物であったかを事件を通して観ていくという作風に感じたので、サスペンスとしては少し物足りないかもです。
「こんなことが起きてるよ?」「あんなことも起きちゃったよ?」「でもあの金持ち金を払わないってよ」「あの人、何を考えてんの?」的な。

しかし、物語の主軸はあくまでもゲイル。
ポール・ゲティの息子の嫁という、あくまで血の繋がらない家族であり、男女という感覚の違い、価値観の違いのぶつかり合いは観ていて興味深かったです。
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