零落した大女優と若い売れない役者の恋。
という題材とあらば、何か厳しい現実を見せられるのかと覚悟していたが、二人の周囲の人々が(一部を除けば)とても優しい。実話ベースということだが、すべてが美しく儚い夢の中のよう。
彼女のような、昔風に言えば「恋多き移り気な」大女優は、今の時代だったら受け入れられるだろうか、と、ふと考えた。
本能の赴くままに、エキセントリックで刹那的な恋を繰り返す。そして、最後は、純愛に身を捧げる。そんな奔放な生きざまを周囲の人々が温かくサポートする…
世の中から失われつつある「寛容」が、この映画を包んでいて、それが涙を誘ったのかもしれない。ファンタジーがファンタジーのままでいられた時代への憧れを自分もどこかに持っているのだろう。
我々一般人が心の奥底で願っていながらできない何かを代わりにやってみせてくれるのが役者という職業なんじゃないかということを改めて思わされたりもして。
劇場で豊かな時間を過ごせました。
※4/12 追記
原題が FILM STARS… と複数形なんですが、映画スターはアメリカで(舞台役者は英国で)最期を迎えるのがふさわしい、みたいな暗黙の了解があるんでしょうか??