映画武士道

カンフー・トラベラー 南拳の映画武士道のレビュー・感想・評価

3.5
結論として設定はなかなか斬新で遊び心がありますが、もう少し脚本の練りが欲しかった!です。
あと俳優知らない人ばかり・・・(中国作品のドラマ結構見てるんですけどねえ)

未来の時代、地球に異星人が襲来!
その異星人は人類よりはるかに高い科学力を有した存在で人類の持っている兵器が通じない!(よくある設定ですね)
絶滅に瀕した人類。その中で英雄が中国に生まれます。
なんと銃やミサイルなどの兵器が一切通用しないエイリアン相手に生身で挑んでぶっ倒しまくる南拳という流派の拳法家の将校。
負け続けの人類の中で唯一エイリアンに勝った人物です。
ただしその拳法家の将校は既にピークを過ぎた拳法家ということで奥義をなぜか忘れてしまった!(衰えて奥義が使えないという話は出てくるけどなぜか伝授もできなくなってる)
ということで南拳全盛期の清の時代にターミネーターを送り込んで唯一人類がエイリアンを倒せるという南拳を習得させ、その記録を治めたチップを後世に残し回収。
そのチップから得られた南拳データを他の大量に生産してあるターミネーターにインストールしてエイリアンを撃退するという計画が持ち上がる。
(この作品の設定ではタイムスリップは未来から過去への片道切符で、過去に飛んだら最後こちらにはもう戻ってこれないので)

この設定はなかなか面白い!既に分かりやすいようにターミネーターという言葉を使いましたが、作中では単純に人型ロボットという名称です。ですがまあ見ればわかりますけど完全にターミネーターです。中国版ターミネーター作品ですね。

面白いのはこの作品のターミネーターは本当に弱いです(初期設定では)というかターミネーターなのに鋼鉄の骨格を持っているので頑丈という設定以外は本当にスペックが人間と全く同じレベルです。なので過去の拳法全盛期時代の清の時代に行っても普通の人間に負け続けます(一応相手は拳法家だけど)。本家ターミネーターを見てると、この弱さが斬新でした。
そんな弱いターミネーターの主人公ですが、鋼鉄製の頑丈さと機械だけあって物覚えがすごくいいこと。あとインプットされてる性格プログラミングがめちゃくちゃいい人&イケメン外殻なので清の時代で普通に人気者に。
戦争で活躍したこともあって、当時の偉い人から「こいつは見込みがある若者だ。私の流派の弟子にしてやろう!」と言われるのですが主人公は南拳しか興味がなく、という南拳を覚えてデータを残すという命令で来てるので「いいえ、結構です」と即答して偉い人をむっとさせたのは笑いました。

清の時代で結構うまくやってる主人公のターミネーターですが、本来の目的の南拳の習得は全く進展なし。
というのも、南拳の師匠は過去にとった一番弟子を戦争で失って以来弟子をとらないようになったということで頑なに弟子入りを拒否されます。
困った主人公ターミネーターがとった方法は・・・
南拳の師匠の娘を色仕掛けでおとすこと!(ターミネーターの色仕掛けはなかなか面白い)
師匠の娘を色仕掛けで落として師匠に弟子入りを認めさせようとするも失敗。
そこで師匠の娘に師匠から南拳を習ってもらい、師匠の娘から南拳を学ぶというスタイルに。
それでいけるのか?と思ってたんですが案外この方法がうまくいって主人公ターミネーターは南拳をどんどん吸収していきます。
初期のターミネーターはその辺の拳法家に負けちゃうような弱い性能だったのですが、師匠の娘から南拳を習ったことによって南拳の中級者くらいにはなれその辺の拳法家にはなんとか戦えるレベルに(でも負ける)

そんな中、戦争で死んだと思われていた南拳の師匠の一番弟子が帰還する。
南拳の一番弟子は戦争で外国人医師に拾われ治療を受けたことで九死に一生を得たものの、外国かぶれになって帰還。性格も変貌していた。
それどころか外国の手先になっていて、清朝の高官や拳法家を次々と南拳を使って暗殺。残虐行為を続ける。
そのことにショックを受けた南拳の師匠は主人公のターミネーターの弟子入りを認め(そもそも一番弟子は死んでなかったので弟子はもうとらないというのも変ですし)南拳の奥義を伝授する。
その奥義の内容がかなりざっくりとした精神論・・・
北斗の拳でいうところの悲しみを知った者のみが使える究極奥義「無想転生」みたいな感じ。
いうて主人公はターミネーターですから、人間とは感情が違う。人間ですらほぼマスターできないという感情論の究極奥義をマスターするのは無理じゃね・・・?

果たして主人公ターミネーターは南拳の究極奥義をマスターし後世に残して未来を救うことができるのか?
また狂った一番弟子の凶行を止めることができるのか?
というところでクライマックスです。


まあこうやって書くとなかなか面白い設定です。

ですがいろいろ矛盾点があって、まず後世にチップを残せばいいという話なのに未来の時代で残された戦力的余裕は七日間しかなく七日間を過ぎたら人類は滅亡する。というので主人公たちはあと七日間しかない!あと七日で南拳の奥義をマスターしなければ!と焦ってる。
これはおかしくないですか?
未来に戻ることはできない設定であらかじめ決められた場所に記録したチップを残して未来の人が回収するという展開なのだから、時間的余裕は非常にたくさんあるはずです。

あと少しネタバレになるのですが生還した一番弟子は実は未来から南拳を習得させないように主人公を追ってきたエイリアンです。
本物の一番弟子はやはり戦争で死んでいました。
そんなエイリアンなのですが弱点であるはずの南拳の達人です(南拳の師匠を倒してしまうほどの)。
エイリアンは南拳が弱点なはずでは・・・おかしくない?
あとエイリアンはなぜか当時の事情通で西洋かぶれになっています。
「これからは西洋の時代だ!清朝はもう滅びるんだ!時代遅れなんだ!産業革命について来れない時代遅れ」みたいなことを言っています。
人類を滅ぼそうというエイリアンのはずなのに西洋かぶれになっているのは正直笑いました。

これらの矛盾点がなければもうちょっと点数が高かったと思います。
設定自体はなかなか面白かったので残念です。
映画武士道

映画武士道