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工作 黒金星と呼ばれた男のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

もう、これが本当にあった話だという事に、
ビビります。
しかも、たかだか26年後に、こういう作品を作ってしまう辺り、
韓国エンタメ界の凄さを感じてしまいます。

とにかく、観てるものすべてが驚きでした。
スパイ活動のための工作で、3年かけて、
ギャンブル漬け・アルコール漬け・破産になるっていうのも、
実話っていうのが、マジですか???って思いましたね。
北風が吹く(北風工作)・・・・っていうのが、
そういう事なの??って
驚きでした。選挙の前に、
韓国側がお金を払って、北朝鮮に軍事的に韓国を挑発して貰うという。
(北朝鮮から軍事挑発があると、軍事推進派の与党の支持率がUPするんですよね。。。)
しかも、これが初めてではない感じ。前回の選挙でも、その前に北朝鮮の
挑発があったとか。
こんな事があると、まさか日本もお金払って、
テポドンを打ち上げてるとかないよね・・(笑)
こんな事があると、世界って本当に、
どんなカラクリがあるか分かりませんね・・・・

スパイ活動をしている過程で、祖国の政治的たくらみを知ったソギョンの、苦悩たるや・・

スパイ映画だけれど、アクションなど一切なし。
なのに、終始、ピリピリとした緊張感が漂います。
それゆえ、お二人の静かな演技が光るんですよね・・・・

ファン・ジョンミン様にしろ、
イ・ソンミン様にしろ、何を考えてるか分からない不気味さが
ありながら、徐々に、その人間性が明らかになっていく過程は、
2人の近付いていく距離とリンクしているようで。

人間と人間の、心の交流に、
グッと胸が熱くなります。

 北朝鮮の描き方もリアルで、
そこで生きる人たちの中にも、国民を憂慮し、
生活を良くしたいと思っていて。
けれど、そういう感情を出せずにいる抑圧された感じが、
韓国から来たソギョンに、ポロっと吐き出してしまう所をみて、
感じ取れます。

そして、それが盗聴されてて、
その後、行方が分からなくなるという所まで
描かれているのが、本当に恐怖。

立場が違っても、
同じように、今よりも国を良くしたいと思っている人たちもいて、
こんな友情は美しいけれど、切ない。

ファン・ジョンミン様の今回の演技もまた、素晴らしくて・・・・
営業用の表の顔と、
そうでない時の顔が違うという演技が、実に見応えがありました。

最終的に、イ・ソンミン様に見せる顔が、
彼の本当の表情で。
「冒険をしませんか」と提案する顔は、
しびれる位、カッコイイし、その存在の重みを感じる瞬間でした。

イ・ソンミン様も、演技のキャパの広さを感じましたね。
ソンミン様演じるリ所長からは、
北朝鮮という国の恐ろしさを背負っているのを、
凄く感じるし。
常に、緊張を保ちながら生きてきた事が、
伝わってきました。

こういった内容を映画にしちゃう韓国エンタメの心意気も、
素晴らしい。
アクションの一切ないスパイ作品を、
中だるみなく一定の緊張感を保持していたのも素晴らしい。
そして、もちろん、重厚な演技合戦も見ものでした。

そして、この作品においての、最大のスパイスは、
これが実話ベースだという事でしょうか。

南北分断で、どれほどの悲しみや苦しみが生まれているだろう。
だからこそ、小さな希望も喜びも、
ひと際、美しく輝く。
北の人間と、南の人間が、
自宅のテーブルで、夕食を囲む。
それだけの事が、しみじみと胸をうち、
余韻として心に残ります。

そして、個人的には、
チェ・ジフン様の北朝鮮軍服姿が・・・・・
最高でしたね。
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