カッコいいパパときれいなママ、それに可愛い妹。そして古くからの友達とのたわいもない毎日は何と問題がないごく普通の生活。
でもたった一つ、誰にも言えない悩みを抱えている。
ある時、学校の掲示板に隠れゲイのポエムが載せられていた。
心がザワザワする。見つけたい、同じ悩みを持つこの『ブルー』に。
サイモンは、この『ブルー』をいろいろな人に当てはめて妄想したりする。
繊細なLGBTを扱った青春映画である本作、でもそれだけにとどまらずにありのままの自分をカムアウトすることの難しさを丁寧に見せている。
そして、ありのままに生きることの素晴らしさや勇気を出して人生を謳歌する中で、人生にはあらゆる愛が存在し、決して独りではないということを教えてくれる素晴らしい青春映画へと仕上がっている。
言いたい苦しみ
言えない苦しみ
どうしようもないほど膨らんで、苦しみだけが一人歩きする。
正直、サイモンの状況下でそんなすぐカミングアウトする必要あるのか?とはじめは思ってしまったのだけど、ありのままでいられないって考えてみたらものすごく辛い。
すごく仲の良い女友達に告られたりしたらそりゃ苦しくて仕方ない。
言わない自由もある代わりに、言う自由だってあるのだと言うことが徐々に分かってくる。
ラストの遊園地のシーンはあからさますぎて、個人的にはいらなかった気もするけど、サイモンがブルーを見つけることができて本当に良かった。
もちろん心無い人も1人や2人いるかもだけど、一歩勇気を出して前に進んでみれば、案外世界は優しいものなのかもしれない。
丁寧な脚本で、17歳という繊細な少年少女たちの心の動きを見せてくれた本作、LGBT映画としての入門としてもおすすめの作品です。