“一つだけいいたいのは、私達はあなたを愛してるってこと。”
FOXサーチライトが送るどうしよもないけど愛おしい家族ドラマ。金銭的に家族を養うのに困る三流弁護士と、薬中の母親から家出してきた少年が出会って、なんとなくいい方向に進んでいく。別にダメ男でもダメ少年でもなく、ただ人生を懸命に生きているやつら。
この手の作品は全編通して“特に状況はなにも変わっていない”ところが重要で、それなのになぜか映画を観終わる頃には微笑んでいる。それくらいお金や人間関係や仕事の悩みなんてちっぽけなもので、この世にはそれ以上に素晴らしい出来事がたくさんあるって事。天才レスリング少年カイルを演じたアレックス・シェイファーは本当にニュージャージーの高校レスリングチャンピオン。
でもやっぱり“リトルミスサンシャイン”と比べてしまうと、この手の作品であのクオリティを生み出すのは難しいんだなと痛感する。ストーリーがヘンテコな分、役者の愛着のある演技力や、絶妙なカットや会話の間合い、色使いや音楽が本当に重要で、改めて“リトルミスサンシャイン”って凄いなぁと感じる。これも悪くはないんだけどね。
