フミコフ

パージ:エクスペリメントのフミコフのレビュー・感想・評価

パージ:エクスペリメント(2018年製作の映画)
2.7
全3作は1作ごとにパージ法とはなんなのか、やその全容を段階を追ってしっかり別の視点から描くことでマンネリ化しない工夫をしていたと思う。
が今作は、法が発令される前の実験的パージ、というどちらかというと他シリーズとは差別化しやすい位置付けなはずなのに、箱を開けて見れば今までのパージの焼き直しどころか薄く薄くした感じ…。今作品の立ち位置が全く見出せない。パージってこんなのみんな見たいんでしょとばかりに仮装した殺人鬼を雑に登場させるし(しかも無駄に多い)、島側と政府側のキャラも今ひとつぱっとしないしそもそも人間関係が殆ど描かれてないせいで誰も応援出来ない。
(あとあの光るコンタクトレンズ後半殆ど機能してなかったよね…)

自由参加のパージといいつつ政府が貧困層を減らす為に軍を投入してたってのも2で分かってることだから今更驚かないし…。前日譚といいつつ新しいパージの事実とかみせてくんないと、本当ただの第一回目パージなのねふーんで終わっちゃう。
お金もらえると思って浮かれてたらヤバいことになった…てのをもっとみせて欲しい。
主人公達が最初からめちゃくちゃ真剣だから起こることが分かってない人たちに見えない。
あんな暴動ありのまま見せて国民がパージ法を許すとも思えないし、そこもうちょっとトリックとかあって欲しかったな…。
終わり方もなんだかな〜大したことしてないのになんか主人公が英雄みたいに持ち上げられててモヤモヤする。
例えば、パージ反対派だった主人公が人を殺す(暴力を発散させる)ことの気持ちよさに目覚めて終わる…とかの方がそれからパージが国民に受け入れられていく伏線とかになるのにな〜とか思ったりした。

あとはまあ、とにかくパージの魅力って日常と非日常の切り替わりのギャップにあるなと今作を見てしみじみ思った。日常的にスラムっぽいとこで危険に暮らしてる人たちだからパージ始まってもギャップが今ひとつ弱い。
ブザーで隣人が殺人鬼になり、ブザーでまた隣人に戻るってのが怖い訳で、今作はそういうのが無かったのが残念。

ダラダラと批判したが、アクションのキレはまあ良かったと思う。グリロの方がキャラ的には圧倒的に好きでしたが。
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