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プーと大人になった僕のmimotoxmimotoのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
3.6
クリストファー・ロビンの少年時代の終わりから、とても悲しい出来事や戦争を経験して大人になるオープニングシークエンスが、ちょっとどうかと思うくらい素晴らしい。素晴らしすぎて涙が出た。
絵本のタッチそのままのアニメーションを織り交ぜながら、変わらないプーと変わらざるを得なかったクリストファー・ロビンを一気に見せる。お陰で観客はこの物語の中に無理なく入っていける。言ってしまえば、小汚いぬいぐるみがしゃべって動く映画なのに、違和感などどこにもないのだ。この映画でこれ以上完璧な導入があるだろうか。

物語は、これぞ古典というしっかりとした構造を持っているので、ややだれている中盤をもしっかりと支えている。モチーフの反復の仕方もザ・クラシック。物語のお手本。

これを観たらわたしの人生が終わるのではないか(=プーをスケープゴートに無気力な人生を許してしまうのでは)という恐怖に怯えていたんだけど、そんなことなかった。当たり前だけど”何もしない”は無気力ではない。昨日は明日だった「今日」という日を、ただ慈しむことこそが”何もしない”なのだ。

誰かの宝物になるかも知れない良い作品。
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