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名前のない女たち ~うそつき女~のtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

2.4

このレビューはネタバレを含みます

原作原案の書籍を初めて書店で手にしたのは、軽く10年以上前だったか?

自分も物書きしながら、役者や編集、企画書書いたり、CMのコンペ参戦ともがいてた頃、

ひょんなことに、西川口駅前の、小さな書店に、
平積みで山ほど展示されてる書籍のシリーズ、

当時がいつ頃だったか記憶ははっきりしないが、
文庫で20万部越えの帯をみて、ほぅと驚いた辺り

201x年頃だろうか?
鼻から下の女性の正面からの撮影写真が表示で
名前のない、というより、顔のない、女の子たち。

今風な歌舞伎町界隈と違うなって思って、
この評を書く今だと既に宝島社から軽く40万部は売れたのではないだろうか?!

取材、インタビューに基づく実在する女性の生き様を、若かりし自分も、チラッと読んだ気がする。


本作品はシリーズ映画化の二作目だそうで、
二作目を先に観てしまったので、
後ほど、一作目も鑑賞しようと思う。

企画には宝島社も協力の様子。


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この映画を観てみようと思ったのは、取材ライター目線で、話が進むのかな?と
吸越満さんが、取材ライター役(原作者役)を
どう演じるのか? 気になったから。

所謂、取材したAV女優さまたちは、業界を引退されていたりが殆どであるものの、
見聞きしたことがあまりない界隈の知識もないままに、いてもマズいのかなという焦りもあり、鑑賞しました。

ストーリーは、ネタバレせず
ご覧頂いてとしておこうかな。

よく、このシリーズ取材ものを、映画化したんだねぇという驚きは有りました。

取材協力といいつつ、謝礼金を渡して原稿書いちゃうのは、
若干ルポライターとしては、禁じ手で御法度な感じは否めないのだが、

そこを名前もない女性たちで、売文稼業で飯を喰うのは相当大変な話で、
嘘っぱちは書けないし、

となると、映画は、どなたかの人生をなぞるストーリーなよのかが、気になっわけです。

綺麗事の様でありながら、
お金の出所や、購買層の、社会的な位置の微妙さ、
また、AV新法なる規制強化や、
履き違えられたフェミニズムが蔓延する、
雑誌とweb媒体の、無いようである、境目。

印税が入るものと、入らんのでPV稼いで広告収入やグッズ販売で利益化となると

もはや、AV女優の生き様とかではなく立ってしまう。
それでも、雑誌を買って下さるお客様がいらっしゃる限り、取材も続け、シリーズは、
星の数ほどいる中の、特定業界の方のみのターゲット。

映画化でどの位マネタイズするのか?
ペイ出来るのかは、ストリーミングで、
私が観た時点で、まいどあり!なんでしょうね。汗

2010年スタートで、今2023年か!
川口駅に行くはずが、列車で寝ぼけて降りた駅が西川口だった。

キュポラを見てみたくて、出かけたのにね。
何がある街かもしらずに、駅前の本屋に立ち寄って、
また、駅舎に戻り、隣駅への列車を待った。

少し経って風俗業種が多い街だと知り、
無知とは誠に恐ろしいものだと、己を恥じた覚えがある。
ええかっこしいではないが、女遊び出来ないダメ男なので、私には無縁な場所でもあった。

濡れ場は、ちらっとあるものの冒頭のみ。
あとは粛々とAV嬢の過酷な経済状況や、家族像、社会の見え方や、
自分売り込み用に作られた虚像を、剥がしてゆく、取材側の経験則が、描かれている。

折下、事件化した、神奈川やまゆり園での、精神薄弱児童等、惨殺大量殺人事件を

老人ホームに置き換えたような事件の取材もする様になったライター。

AVライターで、なくなっていく姿が、
どことなくAVのV そう、VシネマのV

ビデオの時代じゃもうないんだよね、

DVDやBlu-rayを媒体に売るし、
Blu-rayですら、かつての松下工業、現在のパナソニックで、生産完了だ。

メディアが代わり無くなれば、産業構造も変わる。
ストリーミングでネットである時代。

そんな中で翻弄され時代の先端のはずの女優が、チープに陳腐化され、使い古され、
忘れ去られて行き、引退されたり、業界から消えてしまう。

人を使い古す仕事って酷くないですか?!
と思いつつ、そういう男性の需要がある社会にも、
それぞれなんだろうなぁって、
オトナな社会勉強はしてしまえました。

私は職業偏見が全くないので、AVをする人を
社会の底辺と思ったりは全くないです。

ただ、信用商売の金融業からは嫌われる業種だろうな、人間の3代欲求は、カネに密着するので、
わざわざ風俗営業法という改正版も法律があるわけで。

商売そんなに安易に稼げる話はないもので
勤勉勤労にならざるを得ないから
経済全体の底上げをする経済対策を打つ、
政府が、方針固めて、
人々と共に前に進まないとならないのになと
感じるシーンがあった。

何かつぎはぎの様な、ストーリーの、布石が
伏線回収出来ない、妹のビルからの転落や、
元ホストの未成年が年齢バレで、退店扱いされたのち、
友人のところに泊まりに行くと、
妹をバイクに乗せ、二人で未成年男女(設定)が
ブティックホテルで愛し合うシーンは、
その後の、時間がこのまま止まっちゃえばいいのに、への布石なんだろうが、

主演のAV女優の姉の、サイドストーリーとしての、田舎から出てきた妹が、虞犯少女化してゆく話しが、若干中途半端感があり、

姉が一人勝ち組でもなく、実は母子家庭で、AV出演バレ勘当され、実家帰れないなど
所々が嘘なのか、未熟なのか?
描きたい対象が、ストーリー内でブレるので
鑑賞する側は、混乱する。

いい女優さんなので、勿体無い感はあった。
AVマネジャーの社長と焼肉シーンに
元メイク担当の彼氏が、新バイト先の飲み会を同じ店で、
挨拶しにきて、別席で楽しく飲んでいて。

揺れ動く、AV嬢のヒモが、自立して自分から離れてゆくんじゃないか?!という
揺れる女性心理を、うまく演技指導できてない感はあって、
もっとも、ミスコンご出身の女性が俳優業はじめた感じなので

そこは我慢なのかな?と、堪えて観るのはちとつらいものが。
二作目の次があるのかは、興行成績データ見てから、観るか考えようかと思う。

雑なAV制作シーンに(L)GBTQシーンはあり、
主演なりに頑張ったのねは、
AVではないのだろうので、そこは鑑賞した方を裏切らない作りにしたんだなぁと。

でもAV女優さんとて、普通に女性で女の子なのは当たり前なので、
何故それがしたい仕事になったか?

この、取材目線がブレないのが救い。
生きるには生きるための理由が必要だから。

ここが、核心と分かると、するっと支えたものが
腑に落ちた。

公園でペディキュアが半分塗れていないのを、
ネイルオフしないで塗り足してゆく、幼稚性。

女の本性や本分は、意外な場所に、見え隠れするもので。
あたまポンポンされて、ニッコリ幸せになる女性が多い中、

元カノとか、子供扱いしないで!って
おまいさま、プライベートで愛し合ってるとき、
ガン切れしないでおくれよ。大泣

おれ、女性恐怖のPTSD持ちで、病んだ心の人なので、女遊びもせず、真っ直ぐ実直に君に向かい合ってるのに。

君はどこか、違う男に、子供扱いされたのを
おれに、文句は言えて、吐き出してスッキリできたかい?

そんな古い恥ずかしい己の記憶まで思い出してしまった。

女も男も色々なんだし、色々でいいんだろうな。
でも、どんなに蔑まれても、己を屠らないで、
生きていて欲しい。

私から映画の中の女性たちや、世の中の
名前のない女たちに、贈るエールは、
最後に自分を救うのは、自分自身。

そのために、殻に篭らないで
open mindedで多様性を受け入れようよと
待っててあげる。
転んで泣き出しても、泣き止んで、立ち上がりまた、トボトボと歩き出すのを、ずっと見捨てず、
見ていてあげる。

他人ってそれくらいなら出来るよね!
そういう社会であって欲しいし、人生、生きてさえいてあきらめなければやり直しが効く社会に早く変えたいね!

そんなぼんやりした、でも、核心を突かれる作品。

ご覧あれ!
2018年作品

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原作:中村淳彦
監督:サトウトシキ
脚本:加瀬仁美
プロデューサー:森原俊朗
企画協力:宮川亨(宝島社)

撮影監督・編集 小川真司(JSC)
録音:岩間翼
音楽:入江亮
取材協力:森川圭

主題歌:「CALL MY NAME」作詞:CHISA、作曲/歌:アクメ

製作協力:SOLID FEATURE
配給宣伝:渋谷プロダクション
製作:オデッサプロモーション、渋谷プロダクション
制作著作:「名前のない女たち うそつき女」製作委員会
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