ダイセロス森本

スモールフットのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

スモールフット(2018年製作の映画)
4.9
主人公の明るさ、種を超えてコミュニケーションを取ろうとする精神や考え方は今のアメリカが一番欲しいものなのかもしれないと強く感じた映画。

ビックフット、イエティ系の主人公がある日スモールフット=人間を見つけ、村の人々に報告する。するとなぜか怒られ、村から追い出されてしまった!。スモールフットを信じない友達と、何故か絶対に存在を認めない村長を納得させるために彼は人間界へ下りる…!
その人間界というのも山のしたのことなのだけれど、彼らビックフットは、雲の下には何もない世界が広がっているという言い伝えを信じているので、そもそも降りることが怖いという一回目の恐怖が待つ。
これは誰にでもある、「新しい世界へ飛び込む恐怖、見えない先への不安」を暗示し、地面にどしんとおちたところからどう動くか?と私たちへメッセージも含まれていると思う。そして主人公はこうしたんだよ、とも。

私はこれで本当に感じるのは、歌という力、そして言葉より表情はより言語であるということ、そして理解するということがいかに難しいか、でもそれはほんの少しの勇気で簡単になるということをめちゃくちゃうまく伝えられていたということ。

最後のシーンなんてボロボロ泣く。

インターネットで再生回数が欲しい、ハリウッドであのトークショーに出て有名になりたい、という一心で動画を撮りまくる主人公がたまたまイエティと遭遇し、言葉は通じなくても、「写真を撮ってネットにあげる」ということより大事なことを知る瞬間。すてきだったな。でも消さなくてもいいと思ったわよ私は!!。

子供には純粋に楽しめて、大人にはより深いところで色々感じる映画になったと思う。特にアメリカに住むアジア人として、これはなかなか刺さる映画だった。幸いあからさまな人種差別者は少なくなってきたアメリカだけど、それでもやっぱりまだ怖い部分はある。

笑顔ってパワーがあるなあ。

私はこれで本当に泣けたし、そういう環境にいたからかもしれないけど、これは普通に見逃せるような映画じゃないことだけは、本当に伝えたい。

音楽がまた良い。これは結構評価されるべきだと思う。