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ある少年の告白のmofaのネタバレレビュー・内容・結末

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【実話から何を学ぶか】

①キャストが良い
母(ニコール・キッドマン)と父(ラッセル・クロウ)
どちらも、年をとりながらも、ますます演技の幅や深みが出てきて、
素晴らしい演技です。
 子供を信用してあげれなかった母の迷いや後悔の気持ち、
父親の子供への落胆と、動揺。
 そんな感情に振り回されながらも、それぞれの子供への愛情を感じ取れるんですね。
 
矯正施設の館長を、監督のジョエル・エドガートンが!
矯正する側の人間ですが、その後、彼もまたゲイであった事が発覚していますね。
その事実を知ると、彼にもまた、彼なりの苦しみがあったのだと考えてしまいます。

そして、主人公。ルーカス・ヘッジズ。
正直、台詞も少なくて、主人公の心情を知るには、
演技しかないのですが、それが、少し物足りない気がしました。
どちらかといえば、ずっと怒りの感情ばかりで、
心の動きとかが見えなくて。。。と思って。
 でも、それが、本当なのかも知れない。自分がゲイだと知っての混乱、
矯正施設に入っての理不尽さ。
 そこから、すべてを受け入れての、大人になってからの姿が、
凛々しくて。その変化が、なかなか良かったです。

②実話ベースによる真実
実話なので、全体的に劇的な何かがあるワケではありません。
けれど、この実話にこそ、衝撃の事実が隠されています。
矯正施設という内容と、現代の風景が違和感で、
一体、いつの時代の話なんだ?と思ってしまったんだけど。
 この原作ガラルド・コンリーの回顧録は、
2004年の出来事なんです。

2004年です・・・・。携帯もある時代の話です。
そんな最近に、こういった矯正施設があったという事実に、
LGBTQも認められて広まってきたな・・・などと思っていた自分の浅はかさが、
恥ずかしくなりました。

そして、公開された時点で、いまだ、34の州が、
こういった矯正施設の存在を容認しているという事実がありました。
矯正施設により矯正行動を強いられた人たちの中には、
自殺やトラウマなど、心理的な問題を抱えている事が多いそうです。

 アメリカは、宗教上の理由から、こういった悲劇的な正義がいまだに、残っていると感じ、その根深さを改めて感じました。
 そして、無宗教である日本においても、
同調圧力や多数が正義という風潮が、同じような根深さを招いているのだと、
感じました。

だからこそ、34の州で、アイデンティティを破壊するような施設の存続が、
許容されているのではないでしょうか。


③最後の言葉から、何を学ぶか。
最後のシーンで、子供が父親に言います。
「僕は、ゲイで父さんの息子だ。

これは、変えられない。だから、父さんが変わるしかない」
 これは、まさにそうだ!と思った言葉でした。
アイデンティティの一部を、変える事は出来ない。
ならば、周囲の人間は、それを受け入れ、変わるしかない。

世界には、色んな人がいて、
多種多様な愛が存在するということ。
自分自身もそれを理解する事は、当然だけれど、
自分から子供へと、そういった考え方を植え付けていく事も、
大切なんじゃないかと思いました。

それと同時に、自分の子供の愛の形がどうであれ、
受け入れるという準備を、するべきではないかと考えさせられました。

子供たちが自分たちらしく振る舞える勇気を持ち続けて欲しいと思います。
そして、自分も含めて、この世の中には、
様々な人が存在し、様々な愛が存在するという事実を、受け入れてくれる人であって欲しいと。
そんな風に思える作品でした。

グザヴィエ・ドラン様が出てるんですけど~~~~~!!
めっちゃ、存在感あって~~~~
めっちゃ、カッコいいんですけど~~~~~
正直、めっちゃ、無駄遣いだと思いました~。
もっともっと、ギブミードラン様~でした・

こちらの邦題「ある少年の告白」なんですけどね。
少年じゃないやん!!っていう違和感があるんですよね。
「ある青年の告白」やろ~みたいな。
現代は「消された少年」です。
こっちのが、いいな~と思ってます。
mofa

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